PT下議=ミシェレ夫人の調査要請=野党の大統領夫人批判に

下院労働者党(PT)リーダーのリンドベルグ・ファリアス下議は2月26日、ジャイール・ボルソナロ前大統領(自由党・PL)の妻ミシェレ・ボルソナロ氏に関する公的資金不正使用疑惑について、連邦検察庁(MPF)、連邦警察(PF)、連邦統合内部統制局(CGU)、および内閣官房に対して5件の調査要求を提出した。
これらの要求は、ミシェレ氏による大統領府の公用カードの不正使用、それを隠蔽するために設けられた「並行口座」の存在、軍人への資金転送についての調査を求める内容だ。ファリアス氏は、現大統領夫人のロザンジェラ・ダ・シルヴァ(通称ジャンジャ)氏を野党の批判から擁護する目的で、ミシェレ氏に対する攻撃的な措置を取る考えをSNSで表明したと、4日付エスタード紙など(1)(2)が報じた。
ファリアス氏はPFとCGUに対し、ボルソナロ政権下でミシェレ氏の費用支出を補填するために公的資金が不正に流用された可能性について調査が行われたか否かを問うた上、MPFにも同件についての刑事告発を行い、調査を求めた。
同氏は、「ジャンジャ氏に対する陳情1件に対し、ミシェレ氏に対しては2件の陳情を提出する。公費の横領者たちには道義心はない。我々は積極的に動いていく」とSNSに投稿した。
ジャンジャ氏は政府内での正式な職務を有していないが、国外旅行に伴う支出やルーラ政権下で実質的な役職を担っていることについて、野党から批判を浴びている。エスタード紙によれば、ジャンジャ氏のチームは12名のアドバイザーで構成されており、昨年末までにその旅行費用として120万レアル(3100万円相当)を使ったという。大統領府社会通信局(SECOM)は、政府職員が法律で定められた職務を遂行していると説明している。
一方、ミシェレ氏が率いるPL女性部は、ファリアス氏が「前大統領夫人に対する虚偽の告発を再び持ち出した」と非難する声明を発表。「これは、PT政権による最近のスキャンダルや、食品・ガソリン価格の高騰、現大統領夫人の失態や支出から国民の目をそらすための狂気的な試みだ」と主張した。
ボルソナロ前大統領元側近の陸軍中尉で、公的資金の不正な流用や選挙の不正操作などの罪に問われているマウロ・シジ容疑者の携帯電話に記録されたメッセージには、ミシェレ氏のアドバイザーが現金を彼女の口座に振り込むよう依頼したり、支払いのために現金の引き出しを依頼したりする内容も含まれていた。ミシェレ氏は、上院の議員補佐官である友人のクレジットカードを一部の支出に使用していたことも判明している。
ファリアス氏は内閣官房に対しても、ボルソナロ政権下でミシェレ氏が行った旅行の回数やその費用について尋ねると共に、それらの支出が公的資金で賄われたのかや旅行の目的と正当性についても説明を求めた。
同氏はさらに、国内でのボランティア活動促進のためにボルソナロ政権が創設し、ミシェレ氏が主導する「パトリア・ヴォルンタリア」プログラムについても言及。連邦会計検査院(TCU)が2023年に行った監査では、同プログラムの支援先団体の選定基準が不明確で資金提供先の透明性も欠如していると指摘されており、ファリアス氏は同件に関してどのような措置が取られたのかについても質問を行った。