女性殺人法から10年=今も6時間に1人死亡

8日は女性の権利について考え、女性の功績を祝う「国際女性デー」だが、ブラジルでは9日、女性保護に関する最も注目すべき立法上の成果である女性殺人法施行から10周年(1)となり、女性の権利や保護などを訴える活動が2日間にわたって続いた。
女性殺人法(法令13104号/2015年)は、2012年を通じて開催された女性に対する暴力に関する上下両院議会調査委員会(CPMI)の成果として提出された法案292号/2013年に端を発しており、家庭内暴力や女性というジェンダーに基づく暴力が原因で起きた殺人事件を通常の殺人事件とは別枠でとらえるようになった。
また、2024年10月には、女性殺人を独立した犯罪とし、女性に対する暴力を防止/抑制するための他の措置を確立した法令14994号/2024年も出た。この法律は、2023年にマルガレッチ・ブゼッチ上議が提出し、同年11月に憲法司法委員会(CCJ)が承認した法案(4266号/2023年)から生まれた。この法律は、女性殺人の刑罰を20~40年に引き上げ、懲役12~30年の通常の殺人による刑罰より重くするものだ。
これにより、サンパウロ州では24年、家庭内暴力の防止や抑制のためのマリア・ダ・ペーニャ法による保護対策が前年比で40%増えた。同法は24年に施行から18年になっており、今年も既に1万件近い保護対策がとられている。(2)
だが、女性殺人法施行から10年間での女性殺人総数は、今年1月までで1万1859件に上る。23年の1448件を上回る、1459件の女性殺人が24年には起きており、6時間に1人が殺されている計算になる。(3)(4)(5)
比較のために国家公安情報システム(Sinesp)による昨年の通常殺人の被害者総数を挙げると3万5397人で、うち男性は3万2547人、女性は2425人、身元不明者は425人だ。ここには女性殺人の被害者は含まれていない。
数字だけを見ると女性殺人の犠牲者は通常の殺人事件で殺された犠牲者よりも少ない。だが、毎年1千人以上が殺害されている上、24年の場合、女性殺人関連の裁判が8300件、家庭内暴力に関する新たな裁判が95・92万件増えるなど、歯止めがかかる様子はない。
また、リオ州の場合、24年の女性殺人の犠牲者は107人で99人だった23年を上回り、女性殺人法施行後初の統計での2016年以降で2番目に多かった上、女性が殺された事件の76%を占めた。未遂事件も370件起き、前年を20%上回った。同州では強姦事件も5千件を超え、新記録を更新。セクハラも2441件で新記録だった。(6)
10日付G1サイト(7)(8)によると、直近12カ月間に何らかの暴力(肉体的、精神的なもの、言葉によるものを含む)を受けた女性は全体の37・5%にあたる2140万人いた。この数字は2017年の統計開始以来最高で、前年を8・6%ポイント上回った。また、強姦などの性的虐待に被害者は10・7%にあたる530万人いた。現・元パートナーから何らかの形の暴力を受けた女性は32・4%おり、世界平均の27%より高い。女性に対する暴力事件の92%は証人となれる人がいる場で行われたという。