site.title

米国・ブラジル共同鉱床探査を再開=世界的重要鉱物生産国に?

2025年3月12日

ミナス・ジェライス州のリチウム精錬所(Foto: Sigma Lithium/Divulgação)
ミナス・ジェライス州のリチウム精錬所(Foto: Sigma Lithium/Divulgação)

 米国は、ブラジルと共同でブラジル領内の希少鉱物探査の研究を再開する予定だ。この調査は昨年締結された合意に基づき、ミナス・ジェライス州、ゴイアス州、およびリオ・グランデ・ド・ノルテ州とパライバ州の州境地域の三つの鉱区で実施される。調査対象にはレアアース、リチウム、スズ、キャシテライトなどが含まれていると11日ヴァロール紙(1)が報じた。
 最初の試料収集作業は昨年始まったばかりだが、今年1月、米国務省はブラジル政府に対し、トランプ政権が協力を一時停止する決定を下したと通知。だが、3月に入り、研究再開に関する米国の新たな方針が伝えられた。
 ブラジル地質調査所(SGB)地質鉱物資源局長のフランシスコ・ヴァルジル・シルヴェイラ氏によると、「我々は米国政府の代表団を迎え、合意に基づく全作業が遂行されると告げられた。米最高裁が進行中のすべての合意は完了するべきだと保証しているためだ。合意はすでに締結され、資金も割り当てられ、デロイト社によるコンサルティング契約も結ばれているため、作業継続が決まった」という。
 この協力再開通知は、3月2〜5日にカナダのトロントで開かれた、カナダ探鉱者開発者協会(PDAC)の年次大会に出席していた米国・ブラジル両国の代表団との会合で行われた。PDAC大会は、鉱業業界の主要な国際イベントの一つだ。
 希少鉱物の総称であるクリティカルミネラル(重要鉱物)は「戦略鉱物」とも呼ばれ、携帯電話、半導体はもちろん、軍事技術の製造に欠かせない。また、電気自動車(EV)の蓄電池や太陽光パネル、風力発電のタービンの磁石などにも使用される。これらは、再生可能エネルギーの普及や温室効果ガス削減を目指す脱炭素化の取り組みにおいて、重要な役割を果たしている。
 シルヴェイラ氏によると、ブラジルは、現在は中国が支配している重要鉱物の世界的生産者となる大きな可能性を秘めているという。
 米国は中国への依存度を下げるため、バイデン前米政権下で、他国の重要鉱物資源へのアクセスを確保するための協定締結に関心を示してきた。トランプ政権下ではその関心が強化され、米・ウクライナとの交渉でも重要な議題となった。その他、カナダやグリーンランドの鉱床もターゲットとなっている。
 ブラジルの場合、この協力合意は依然として限定的であり、米国・ブラジル間で行われる鉱床探査を目的とした試験的なプロジェクトに過ぎない。
 この合意では、三つの鉱区が共同調査の初期段階の対象となっている。一つ目はリオ・グランデ・ド・ノルテ州とパライバ州の間に広がるセリドー/ボルボレマ地域で、昨年実施された現地調査では、試料収集、地球物理学的調査、地質マッピングが行われたが、試料の分析は未完了だった。同地域では、リチウムをはじめ、タンタルやニオブなどの希少鉱物にも関心が寄せられていた。協定に基づき、今年4月と5月に新たな活動が予定されている。
 二つ目はミナス・ジェライス州アルト・パラナイバ地域、三つ目はゴイアス州にあるスズ鉱床地帯で、いずれも重要鉱物資源の埋蔵地と見られている。
 協力合意にはこれらの現地調査の他、米地質調査所(USGS)によるSGBの地球物理学者3人に対する専門的な研修も含まれていた。さらに、ブラジルの鉱床と類似点のあるフィンランドの鉱床を訪問調査するため、ブラジル人研究者に対し、米政府から五つの奨学金が支給されることになっている。
 これらの合意は昨年、当時の米国務省のジェフリー・パイアット次官補(エネルギー資源担当)がブラジルを訪問した際に結ばれた。シルヴェイラ氏によると、同協定には米国からの財政的支援も含まれているが100万ドル未満だ。最も重要なのはその科学的側面と、より大規模なプロジェクトに進展するための初期のパートナーシップの形成だったという。


サンパウロ市=ペットショップで誘拐=犯人の1人は追跡で死亡前の記事 サンパウロ市=ペットショップで誘拐=犯人の1人は追跡で死亡COP30=ラゴ議長「変化は不可避」=参加国に決意伝える書簡次の記事COP30=ラゴ議長「変化は不可避」=参加国に決意伝える書簡
Loading...