ボルソナロ=リオ恩赦デモで肩透かし=参加者は当初予想の2%=親派知事らも顔揃える中

ボルソナロ前大統領(自由党・PL)は16日午前中、リオ市コパカバーナ海岸で、恩赦法(アニネスチア)の成立を求めるデモを自ら呼びかけて実施した。このデモは、クーデター計画疑惑の中核として起訴されたボルソナロ氏を含む8人に対して、25日に最高裁で行われる審理の前に行われる最後のデモで、23年1月8日の三権中枢施設襲撃事件参加者に対する恩赦(アニスチア)や最高裁への批判、さらにボルソナロ氏の政権復帰などを訴えた。同日付CNNブラジル(1)(2)などが報じている。
ボルソナロ氏は10日、自身のSNSで「コパカバーナに100万人を」とデモ参加を呼びかけ、国民の圧倒的な支持を見せつけて最高裁に圧力をかけようとしていた。13日にはベージャ誌の取材に答えて「50万人を」とトーンダウンしていたが、現実はさらに少なかった。
軍警発表は40万人としたが、G1サイトやUOLサイト、エスタード紙は、サンパウロ総合大学(USP)調査による1万8千人という数字が報道され、最初の呼びかけ人数の2%に過ぎなかった。ドローンが群衆の航空写真を撮影して、特殊なソフトウェアが画像解析して人数を数える方式で、平均絶対誤差率は12%という。
最大の攻撃対象とされたのは、最高裁でクーデター疑惑審理を担当するアレッシャンドレ・デ・モラエス判事だった。
ボルソナロ氏のデモ参加常連の福音派の大物牧師シラス・マラファイア氏は壇上で、「クーデターの画策事実など何もない。ボルソナロ氏に対する迫害に過ぎない」と主張。モラエス判事のことは、「司法取引を悪用した犯罪者で独裁者だ」と批判した。(3)
前大統領長男のフラヴィオ上議(PL)もそれに続き、「我々はアレッシャンドリズモ(アレッシャンドレ主義)を打倒しなければならない」と主張した。(4)
このデモには前大統領を支持する州知事たちも参加。サンパウロ州のタルシジオ・デ・フレイタス知事(共和者・RP)やリオ州のクラウジオ・カストロ知事(PL)、サンタカタリーナ州のジョルジーニョ・メロ知事(PL)、マット・グロッソ州のマウロ・メンデス知事(ウニオン)が顔を揃えた。
その内、ボルソナロ氏の後継者候補とも目されるタルシジオ氏が壇上で演説。「ルーラ政権のインフレにはもう耐えられない」と訴えた後、「なぜボルソナロ氏に2026年の出馬が禁止されているのか。それは彼ら(ルーラ政権)が負けることを恐れているからだ。皆で一緒になって無実の人たちのアニスチアを求めようではないか」と訴えた。
ボルソナロ氏は午前11時30分に登壇。まず前大統領は 襲撃事件で有罪になった参加者について、「彼らにはクーデターの意思などなかった。裏に誰かいたのか。そんな者はいない。彼らは罠にはまったのだ」と哀れんだ。「私はあの時、米国にいたが、もしあの場にいたら、逮捕されたか、殺されたかのどちらかだっただろう」と続けた。 ボルソナロ氏はさらに、「モラエス判事には2021年からずっと邪魔され、思うような選挙戦ができなかった」として、同判事による迫害があったと主張。
また、注目される連邦議会での恩赦法に関しても、「多くの党が支持することになっている」と言いきった。
聖市のパウリスタ大通りのデモには3千人しか集まらなかったと報じられている。ボルソナロ氏が訪れなかったこともあり、同大通りでのデモはルーラ大統領の罷免の呼びかけに趣旨が変わっていた。
また、ボルソナロ氏の後継者の一人と目されるミシェレ夫人が美容整形の術後で欠席。ロメウ・ゼマ氏やロナウド・カイアード氏など、2026年の保守系の大統領候補も姿を現さなかった。