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農業生産=輸送や貯蔵の問題未解決=収量は新記録との予想も

2025年3月19日

大豆の収穫風景(Divulgação/SGG)
大豆の収穫風景(Divulgação/SGG)

 【既報関連】国家配給公社(Conab)が13日、2024/25農年の穀物収量予測を上方修正し、過去最高の3億2830万トンに達する見込みと発表した(1)が、ブラジルは慢性的に輸送網や貯蔵面での問題を抱えており、増産が農業生産者や物流関係者などの懸念材料ともなっている。
 食料インフレの抑制に連邦政府が頭を悩ませる中、増産は喜ぶべき知らせであり、生産者にとっては生産性向上への取り組みを進める動機ともなり得る。
 だが、ブラジルでは、収量が増えても、農園や生産地域に貯蔵する場所がなく、生産したものはすぐに売りさばく必要が生じたりして、収量不足の時のために備えることが難しい。また、収量が多過ぎて供給過多となると、価格を調整するために、畑で作物を腐らせたり、トラクターで潰したりすることも起こり得る。
 また、米国が引き起こした関税戦争などで、ブラジル産の農産物の輸出が加速する可能性もあるが、ブラジルの輸送網は以前から、輸出入品の積み下ろしのため、港湾部でトラックによる長蛇の列ができるなどの問題を抱えており、高速道や港湾部での渋滞がさらに悪化する可能性や、それに伴う輸送コスト上昇が農産物価格や消費者価格の上昇を招く可能性も増す。
 農業生産者の懸念や実態を示す例の一つは、13日付G1サイト(2)が報じたエデマル・クライエスキ氏の談話だ。同氏はそこで、「雨が降り始めたので農家が一斉に植え付けたら、収穫期も同時で刈り取り機が競って作業。そのため1週間で収穫しなければならなかったのに、トラックが足りなくて運搬できず、いくら探しても見つからなかった。自前の倉庫があればもっと楽だったのに」と語っている。
 Conabによると、前述の収量予測が的中した場合、全国では1・18億トン分の穀物を保管できる倉庫が不足すると見られている。農業畜産連盟の技術顧問エリザンジェラ・ペレイラ・ロペス氏は、「年間約150億レの投資が必要と見られるが、倉庫を増やすための融資計画で見込んでいるのは半分強の年間約78億レ」と試算しており、全国農業連盟は、農業部門にはより長期での返済が可能な融資がもっと必要だと訴えている。
 倉庫を持たない農家は、せっかく収穫した作物がダメにならないよう、少しでも早く売る必要があり、買いたたかれる可能性があるが、倉庫があれば、価格を見ながら売ることができ、安定した収入も望める。
 Conabでは四つの連邦自治体で現在は使われていない倉庫を潰し、より多くの穀物を保管できる倉庫を造る計画も立てている。
 13日付トランスポルテ・ムンジアル(3)は、関税問題で中国への輸出が増す可能性と共に、収量増と短期間での収穫、燃料価格上昇で、マット・グロッソ州からの陸上輸送費は昨年同期の40%増のように輸送経費が高騰と報道。鉄道、水路はオプションが少なく、陸上輸送は高速道の整備状態が悪い上、港湾部での渋滞、貯蔵力の低下も問題だという。
 同サイトは、生産地、協同組合、農業関連企業が貯蔵可能な港までの貯蔵限界は2・1億トンで、穀物の予想収量と比べると1・15憶トン不足としている。
 過剰生産に伴う余剰や廃棄の問題を避けるには、生産量を20%上回る貯蔵能力が必要だが、ブラジルの場合、穀物生産量は年平均5・3%増えているのに、貯蔵能力は年2・8%しか増えておらず、道路や水路、鉄道、港湾の拡張や建設だけでなく、サイロや倉庫建設のための融資が不可欠だ。ブラジルの農場内の貯蔵庫が総容量に占める割合は17%で、米国の65%や欧州の50%、アルゼンチンの40%を大幅に下回る。
 2月25日付ポルタル・アグロ・サミット(4)は、貯蔵能力の不足と共に、農業輸送をより機敏で予測可能かつ持続可能なものにするためのデジタル化やデータインテリジェンスへの投資が増していることに言及。一例はMotz社で、貨物の流れを最適化するため、文書の発行や管理を自動化し、官僚主義を削減。物流システムとの統合で港での待ち行列や積み下ろし時間に関する情報なども同期している。


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