24年は34万人が入院=基本的衛生設備の欠如で

トラッタ・ブラジル研究所(ITB)が、ブラジルの衛生状態の改善は遅れており、基本的衛生設備の欠如で起きる、下痢や寄生虫感染、皮膚病、蚊によって引き起こされる病気による入院例は24年だけで34万4千件に上ったと発表したと19日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。

約半数の16・87万件は蚊が媒介するデング熱やチクングニア熱などの感染者だ。糞便を介して伝染し、ウイルスや細菌、寄生虫によって起こる胃腸炎などの糞口感染症も16・38万件に及んだ。サンパウロ市エリオポリスに住む主婦は、10歳の娘が月に2度、下痢のため15日間入院した上、7歳と8歳の子供や大人も、頻繁な下痢に悩まされていると語っている。
それでも、08年以降の入院患者は、年平均で3・6%ポイント(PP)ずつ減っているという。
他方、浄水の供給量は06~22年の16年間で4・6%しか増えていない。下水道の収集は年1PPずつ増えているが、下水処理はこの間に14PPしか増えていない。25年の場合、人口の約半分の1億人が下水収集や下水処理などの適切な基本的衛生設備の恩恵を受けられずにいる。
ITBによると、基本的衛生設備には住民1人あたり年231レを投ずるべきだが、実際には111レしか投資できていない。24年は基本的衛生設備欠如による入院患者に1・74億レが費やされたが、設備が整えば医療経費は減る。
一例はトイレで、サンパウロ市中心部から45分の所にある先住民コミュニティの16世帯は非政府団体が1年間で造った七つのトイレの恩恵を受け始めたが、全国ではトイレがない人が400万人いる。
状況には地域差もあり、適切な基本的衛生設備欠如による病気の患者が最も多かったのはマラニョン州だ。それでも、同州環境衛生公社が住民の健康と生活の質を保証するために続けている投資の実は結ばれており、現在は121万5800世帯が恩恵を受けているという。
サンパウロ市は、州内375市への上下水道供給と処理を担当する州水道会社Sabespと契約を結び、29年までに先住民部落や農村部も含む全地域に基本的衛生サービスの普及を図る意向だ。
ここ10年余りで人口が15%も増えたパライバ州ジョアン・ペッソアでは、違法な下水による汚染が課題だ。市内17地区を通るジャグアリベ川は濁って悪臭のする水を流し続けており、カベデロ市との境にある二つの海岸では海水浴もできない。洗剤などを含む生活排水や河岸にある違法な豚の飼育場の糞便なども垂れ流しで、魚の死体が浮く水域もあるという。