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日本発の環境型農業=注目の「ヤマカワプログラム」(9)=農園キンタ・モッホ・ド・ブランコを訪ねて

2025年3月21日

農園キンタ・ド・モッホ・ブランコでカリンカさん(右)に農業指導する船戸さん(左)
農園キンタ・ド・モッホ・ブランコでカリンカさん(右)に農業指導する船戸さん(左)

 ヤマカワプログラム一行は24年11月21日、ジュアゼイロ市北東部に位置する葡萄農園キンタ・ド・モッホ・ブランコ(Fazenda Quinta do Morro Branco)を訪問した。
 同農園は経営開始4年目、食用葡萄ヴィットリア種の畑4ヘクタールを所有する。生産品は現在、大手農園に販売し、そこから海外に販売されている。
 農業技師の平井ロベルト・ダイサクさん(66歳・2世)とその息子で農園を持つ平井・ノダ・ファビオ・ノボルさん(35歳・3世)がコンサルタントとして作物を管理。平井さんらの行うバイオロジカル農業とヤマカワプログラムを掛け合わせた土壌改善を行っているという。
 同農園オーナーのカリンカ・マセド・ケイロスさん(48歳)は、畑に葡萄を初めて植えた2021年から2023年までは他のコンサルタントが管理をしていたが、その農法は農薬の使用量が多く、栽培コストが高すぎて販売価格との採算が合わないことに悩んでいたという。そんな中、平井さんに出会い、ヤマカワプログラムと彼独自のバイオロジカル農業の実践を始めた。カリンカさんは「化学肥料や農薬を減らしながらも、高品質で安全な葡萄を提供することが目標でした」と述べる。
 続けて、「平井さんがコンサルタントになった当初は、葡萄の育ちが一番悪いエリアを管理してもらいました。そのエリアは、前任のコンサルタントが匙を投げたエリアでした。でも平井さんがヤマカワプログラムとバイオケミカルを織り交ぜた方法を始めてわずか15日目で葡萄の葉の色が鮮やかになりました。そして、硬盤層などの影響で水はけが悪く、ぬかるみがあり、蚊などの害虫が多かったそのエリアは次第に、表面は乾燥しつつも土中は湿り気が保たれ、害虫も少ない作業の行いやすい環境になりました。2カ月経つと収穫量は前回収穫と比べて85%回復、使用農薬量も45%減らすことができました。さらに検査の結果、残留農薬の値がゼロだったことには驚きました」と述べる。
 さらに作物の質も変化した。「ヤマカワプログラムを実施した葡萄と実施途中の葡萄を比べた所、前者の葡萄にはより甘さと弾力がありました。まるで魔法のようだとびっくりしています」と語った。
 船戸さんらは、ここでも土の状態を確認し、灌漑のアドバイスや土中の微生物の重要性、そのバランスなどをアドバイスした。船戸さんは「ヤマカワプログラムを少し行っただけでこれだけ効果があるなら、今後も継続して行うことでかなり成長するポテンシャルがあると思います。これからも土、微生物、小動物が住みやすい環境を整えて良い作物を作ってほしいですね」と述べた。
 黒田栄さんは「ヤマカワプログラムを実施した葡萄は本当に甘くておいしくて驚きました!植物の生きやすい環境が整ったのでしょう。カリンカさんの悩んでいた問題も解決の道筋が見え、地球環境の蘇生にもまた一歩近づいたことは本当に嬉しいことです」と笑みを浮かべた。(つづく、淀貴彦記者)


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