国際監視団=デジタル時代の課題検証=世界報告書をリオで発表

情報民主主義国際監視団が19日、デジタル時代の情報の影響と課題を分析した、初めての世界報告書をリオ市で発表したと同日付G1サイト(1)が報じた。このテーマに関する3千件以上の科学論文や技術レポートを検討、分析した報告書は、様々な国の専門家60人以上の研究をまとめたものだ。 情報民主主義国際監視団とは、2021年9月の国連総会のイベント中に発足した組織。国境なき記者団(RSF)がその3年前に開始した、世界の情報通信環境を保護し、あらゆる偽情報と闘うための対策を提案・実施する取り組みの成果と報道されている。
調査では、大手のデジタルプラットフォームの透明性欠如が主な原因で、虚報(フェイクニュース)拡散や情報不足といった「偽情報」による問題に関する入手可能なデータはほとんどないと結論づけている。リオ連邦大学Netlab理事兼創設者のマリエ・サンチニ氏は、ソーシャルネットワーク(SNS)などのデジタルプラットフォームで活動する企業はますます透明性を失っており、研究者がデータを収集することを許可しないと語っている。
また、偽情報は虚偽の情報だけではなく、メッセージの背後にある意図が決定的な要因になると強調。情報と民主主義に関するフォーラムのカミーユ・グラニエ事務局長は、「政治的な議論や社会問題において、相手を攻撃したり標的にしたりすることを意図した虚偽の物語だ」と説明している。
同報告書は、フェイスブックとインスタグラムを所有するMeta社が米国でのファクトチェックを一時的に停止するという、非常に重要な時期に発表された。世界経済フォーラムは、偽情報が今後2年間で最大の世界的脅威の一つと特定している。
300ページに及ぶ報告書では、人工知能、大手テクノロジー企業の力、偽情報との闘い、データ正義への道などの、九つのテーマを取り扱っている。
人工知能に関しては透明性欠如がさらに深刻で、報告書では、ユーザーの多くは自分のデータがどのような形でAIのトレーニングに使われているかを理解せず、プライバシーポリシーに同意していると警告している。
また、ブラジルを含むラ米諸国ではデータへのアクセスがさらに制限されており、問題に対処するための効果的な公共政策の策定が困難だという。サンチニ氏は、「この問題を正しく診断するためのデータと証拠があれば、イデオロギーの問題にとらわれずに、効果的な政策や規則を策定できる」としている。
報告書では、SNSを規制するためのメカニズムを改善する必要性も強調している。伯国最高裁はインターネットの公民権の枠組み、特にプラットフォームは裁判所の命令があった場合にのみ、コンテンツを削除する必要があると規定する第19条改正の可能性を議論している。
ジェトゥリオ・ヴァルガス財団リオの技術社会センター所長で情報と民主主義監視団のメンバーでもあるルカ・ベリ氏は、第19条は新興企業や小規模なプラットフォームには有効だが、インターネット大手の規制には適していないと説明している。
報告書は、偽情報が個人の自由や情報への権利を侵害する可能性があることも強調。サンチニ氏は「虚報を通じて操作が行われることもあるが、特定の行動を誘発するようにアプリを構成して社会を操作することもあり得る。私達は社会が操作されるのを避けるため、人々が質の高い情報を持つようにしたいと考えている」と結論付けた。(2)