モッタ下院議長=「恩赦法承認の可能性ゼロ」=PLは早期投票と息巻くも=デモ失敗と26日の審理響く

ボルソナロ前大統領が連邦議会で進めることを熱望している三権中枢施設襲撃事件の恩赦法に関して、ウゴ・モッタ下院議長(共和者・RP)が側近に対し、「現時点での承認の可能性はゼロ」と語っていたことが明らかになった。ボルソナロ氏はこの法に、8年間の被選挙権剥奪とクーデター計画疑惑で被告となった裁判の撤回を賭けている。同日付G1サイト(1)が報じている。 これは、モッタ議長の側近が27日にグローボニュースで語って明らかになったものだ。それによると、モッタ議長は現時点で恩赦法が下院を通過する見込みはゼロだと語り、同法案を今、議題として取り上げる理由もないと語っていたという。
また、モッタ氏は現在、ルーラ大統領のアジア歴訪に帯同し、日本での商業交渉などにも同席したが、今の段階で恩赦法を議題として取り上げると、そこで築いた関係にヒビが入ってしまう可能性があるとし、恐れているという。
他方、モッタ議長は恩赦法を推進しようとする野党側との対話の意思は持っているという。同議長の予定では、帰国後の4月1日に同法案を推進する下議たちと話し合いを行った上で、3日に各政党のリーダーたちとの会合を持つつもりだというが、28日付G1サイト(2)は、同議長は既に、恩赦法を議題にのせたいと考えている政党リーダーは過半数に届かないことを知っていると報じている。
他方、ボルソナロ前大統領の自由党(PL)は、モッタ議長が向こう数週間で恩赦法を議題に入れない場合、下院での審議スケジュールを妨害するとの脅しをかけている。(3)同党のソステネス・カヴァルカンテ下議は、1日にモッタ議長と会議を持ち、早ければ4月8日にも下院での緊急投票を行いたいとの意向を持っている。
PL側は恩赦法の通過に対して自信を語っている。それは、同党が社会民主党(PSD)や進歩党(PP)、ウニオンなどの大型政党の説得に成功したからだとされている。
だが、下院連邦政府リーダーのジョゼ・ギマリャンエス下議(労働者党・PT)はそうした見方を行っていない。同下議はグローボニュースに対し、「今、投票を行う雰囲気は全くない。全体でこの話をしようなど間違いだ。強行しようとすれば、モッタ議長や政党リーダーたちが持とうとしている対話すら壊しかねない」と語っている。
恩赦法の下院での承認は難しいとの見方が強い。PL側は大型政党との交渉に成功したと主張しているものの、それは党内の一致した見方ではなく、下院の過半数を超えるとは見られていない。
このような見方の背景には、ボルソナロ氏の呼びかけで3月16日に行われた恩赦法を求めるデモが、本人が目標としていた100万人を大きく下回る数万人規模(集計によっては2万人以下)で終わったことがある。さらに、26日のクーデター計画疑惑に関する起訴状受理を巡る最高裁の審理で、満場一致で被告になったこと、検察側と最高裁側の見解が強く一致し、来るべき起訴内容そのものを扱う裁判でもかなり不利になることがすでに予想されているためだ。
それに加え、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(ウニオン)は恩赦法の審議に対し、「国民にとって今必要なものではない」と以前から審議に消極的だ。27日付G1サイト(4)によると、同議長も、恩赦法は「街頭の問題」(国民が大挙して街頭に出て求めている問題)ではないとし、この法案を進めることに興味がないことを明らかにしている。
世論調査団体Ipespeが行った世論調査では、26日にクーデター疑惑で被告となる前の20〜25日の段階の調査で、ボルソナロ前大統領が「クーデター疑惑で有罪になる」と答えた人が66%で、「無罪になる」の29%を倍以上上回っていた。(5)