ルーラ=トランプは正しい方向に=ウクライナ和平交渉評価=高率関税前に直談判希望

ルーラ大統領は3月29日、米国のドナルド・トランプ大統領に関して、「ウクライナ紛争に関しては正しい方向に進んでいる」と評価する発言を行った。同日付CNNブラジル(1)が報じている。
ルーラ大統領の発言は3月29日、アジア外遊中のベトナムでの公式日程を終え、首都ハノイで受けた取材の中で出たものだ。ルーラ氏はこの外遊で日本とベトナムを訪問。日本では、メルコスルとの貿易協定の協議開始や、ブラジル産の肉に対して日本が市場を開放することなどを求めて交渉を行っていた。
ルーラ氏はトランプ大統領に関して、「過激とも言える反対意見も持っているが、ウクライナ問題に関しては、正しい道を進んでいると思う」と語った。ルーラ氏は、「バイデン前大統領が行うべきことだった」とも補足している。
ルーラ大統領はウクライナ紛争に関して、中国などと共に和平案を求め続けてきた。大統領はこの件に関してもかねてからの持論を繰り返し、「ロシアがウクライナの領土を占領しようとしたのは過ちだ。だが、ゼレンスキー大統領とだけ対話を行うことはできない。ゼレンスキー、プーチン両大統領を同じテーブルにつかせないと」と語った。
ルーラ氏は欧州がプーチン大統領との対話に応じようとしなかったことを批判し、「今、トランプ氏がプーチン氏との対話に応じようとしている。欧州はゼレンスキー氏側から離れようとしていないが、プーチン氏との対話にも踏み切るべきだ」と語った。
ゼレンスキー氏はルーラ氏の和平案を「プーチン氏寄り」と評価し、何度も却下して来た。だが、ルーラ氏は来週、ゼレンスキー氏と再度会談を行う予定だ。
トランプ大統領によるウクライナとロシアの和平案に関しては、3月18〜19日に双方がエネルギー施設への攻撃を30日間停止することで合意したが、和平案そのものには同意しておらず、引き続き緊迫した状態が続いている。
ゼレンスキー氏は、トランプ氏による和平案は米国側がウクライナの鉱山資源の利権を目当てにしたものではないかとして強い難色を示している。
また、ルーラ大統領はトランプ大統領に対しても、「そろそろ対話が必要な時だと思っている」と語っている。それは今月2日から、トランプ氏による高率関税(ポルトガル語でタリファッソ)が実施されるためだ。
「トランプ氏に電話をかけること自体は何も問題ではないし、先方にも私と話すことが問題だとは思って欲しくない。米国と自由な貿易を行うためにも、(タリファッソへの)報復的な関税政策を行ったり世界貿易機関(WTO)で争ったりする前に、精一杯話すべきことは話し合っておきたい」とルーラ氏は主張。「トランプ氏はアメリカ・ファーストかもしれないが、こちらもブラジルのことを第一に考えなければならない」との立場を示している。(2)