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ルーラ「専制的威嚇はまだ残る」=軍事クーデター61周年に語る=第3期政権において初の言及

2025年4月2日

ルーラ大統領の投稿(Ⅹ)
ルーラ大統領の投稿(Ⅹ)

 ルーラ大統領は3月31日、この日、61周年を迎えた1964年の軍事クーデターについて語った。第3期政権の最初の2年間は言及を避けていたが、今回はこの件に関しての沈黙を破った。同日付UOLサイト(1)が報じている。

 ルーラ大統領は軍事クーデターに関して、X上の声明で口を開いた。3月31日付の投稿で、ルーラ氏は「今日は民主主義、人権、国民主権にとって重要な日だ。未来のリーダーを選挙で選ぶためにも重要だ。我々は専制的な威嚇に対して力を合わせて強くあり続けているが、残念ながら、この国にはまだ、そのような威嚇が生き続けている」と述べた。
 2023年のルーラ第3期政権発足後、大統領は3月31日のことに関する公式な言及を避けてきた。政府は軍との沈黙協定を維持し、軍はこの日を祝わず、政府も批判発言を避けてきた。昨年も大統領は軍事クーデター60周年を記念する全ての政府行事を中止するよう命じていた。
 風向きが変わったきっかけは、クーデター計画疑惑の審理でボルソナロ前大統領はじめ前政権関係者ら8人を最高裁が3月26日に被告として決めたことだ。
これにより、野党側が連邦議会内で2023年1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関連した恩赦法の審議、承認を進めようとする機運が高まっている。これに対して労働者党(PT)をはじめとした与党側の「セン・アニスチア(恩赦なし)」の姿勢の強化を見せようとの狙いもあるようだ。
 また、1月8日事件やクーデター計画疑惑のみならず、過去の軍事政権に対しても、ブラジル映画「アイム・スティル・ヒア」がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞し国の内外でブームとなったことで社会的関心が高まり、1979年に出された恩赦法に対しても最高裁による見直しが進められようとしているタイミングでもある。同恩赦法に関しては、軍事政権側、政治犯とされた側の両方に恩赦が与えられ、軍が行ったとされる政治犯の誘拐や刑務所内での処刑・拷問に甘いとの批判も兼ねてからあがっていたが、同作の影響でそれが再燃していた。
 この日はルーラ政権の他の閣僚たちも3月31日に関する言及を行っている。グレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官は、「前大統領を含む全政権関係者たちによる新たなクーデターが試みられた時期だからこそ、この日は思い出されなければならない」と語り、ルイ・コスタ官房長官も「軍事政権は二度と来ない。恩赦なしだ」との声明を出している。
 3月31日に関する軍や前政権関係者の声明は目立つところでは聞かれていない。ボルソナロ政権時には記念式典のようなものこそなかったが、閣僚関係者らが個人的な見解として、「ブラジルを共産主義から救った日」との発言を行ったりしたことがあった。
 ボルソナロ前大統領の自由党(PL)の下議たちは、1月8日事件の襲撃者やボルソナロ前大統領にはクーデターの意図はなかったとし、現在、ウゴ・モッタ下院議長に対し、恩赦法を緊急審議の議題とするよう、強く圧力をかけている。


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