東西統合鉄道=PAC工事突如停止、解雇も=ルーラが前倒しした目玉事業

第3期ルーラ政権が最初に公表した経済活性化計画(PAC)の事業であるバイア州での東西統合鉄道(Fiol)建設工事が突如停止となり、労働者解雇も始まったと1日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)が報じた。
Fiolはバイア州南部のイリェウス市~トカンチンス州フィゲイロポリス市間の1527キロを結ぶ鉄道で、トカンチンス州で南北鉄道と接続する予定だ。
この内、イリェウス市と同州南西部のカエチテー市を結ぶ全長537キロの第1工区の工事はバイア・ミネラソン(Bamin)が請け負った。バイア州内19市をつなぐ第1工区は、農産物や鉄鉱石などをイリェウスまで運ぶ輸送網として大きな期待を集め、ルーラ大統領が23年7月に新PAC最初の事業として発表した。第1工区の完成は27年とされていたが、ルーラ氏は事業計画を前倒しし、26年中に開通をと求めていた。
だが、第1工区の工事の約75%が完了した3月31日、Baminが建設会社のプルモス・エンジェニャリアとの契約を解除。建設工事中断は1日にBaminが発表した。
Baminによると、23年に始まった工事は第1期が完了しており、プルモスとの契約終了後も保守サービスは続くし、ペドラ・デ・フェロ統合プロジェクトに関連する全ての社会環境的義務も遂行するという。
また、同社を統括するエウラシアン・レクルソス・グループ(ERG、ロシア資本でカザフスタンが本社の企業グループ)は、これらの措置を実行するための投資家を探し続けているとしている。
他方、同州重工業組立労働者組合(Sintepav)は1日、この状況に対処するため、2日に総会を開くことを決めた。同組合は3月31日に、Baminがプルモスに建設工事を中断し、全ての労働者を解雇するとの通知を出したことを知った。事前通達もなく、解雇されることになった労働者は300~350人に上るという。解雇は段階的に行われ、遅くとも8日には完了する予定で、2日だけで約70人が解雇された。
Baminによると、工事中断期間は30日程度で、ウルスカの工事現場は既に完了した工事区間の保守作業のために残すという。
Fiolの工事中断は国家陸路輸送庁(ANTT)や連邦政府にとっても寝耳に水の出来事で、ANTTは契約不履行にあたる行為として調査を開始する意向を表明。ルイ・コスタ官房長官も2日、工事再開に向けた解決策を模索していると発表。鉄道事業はルーラ政権にとっても一大関心事で、大統領は第1工区の完成を26年選挙でのアピール材料とする予定だった。
なお、カエチテー~サンフランシスコ間の第2工区は連邦政府の管轄下で工事が進展している。サンフランシスコ地域からゴイアス州までを結び、中西部鉄道(Fico)とも連結する第3工区は、中国やアラブ諸国の投資を受けて工事が進められる予定だ。