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下院議長=恩赦法審議避ける意向=最高裁との緊張回避で

2025年4月5日

ウゴ・モッタ下院議長(Kayo Magalhães/Câmara dos Deputados)
ウゴ・モッタ下院議長(Kayo Magalhães/Câmara dos Deputados)

 【既報関連】22年大統領選後のクーデター計画疑惑でボルソナロ前大統領らが被告となった最高裁審理もあり、自由党(PL)などが恩赦法の審議に向けた圧力を強める中、ウゴ・モッタ下院議長は最高裁との新たな緊張回避のため、恩赦法の審議を避ける意向と3日付ヴァロール紙(1)が報じた。
 自由党などが早期審議を求めている恩赦法は23年1月8日に起きた三権中枢施設襲撃事件の裁判で有罪判決を受けた人達に恩赦を与えるためのものとされているが、同法案の対象者は22年の大統領選の決選投票が行われた22年10月30日以降のあらゆるデモ行為に参加した人で、クーデター未遂に関与したとされるすべての人をその対象に含める意向と見られている。
 ヴァロール紙は、最高裁がクーデター計画者らに科された判決を再検討すると予想されるため、23年1月8日の行為で有罪判決を受けた人達に恩赦を与える法案の審議は議題としたくないという言い方でモッタ議長の意向を語っており、3月下旬に始まったクーデター計画疑惑の起訴対象者には言及していない。
 モッタ議長がクーデター計画者らに科された判決を再検討すると予想しているとの表現は、1月8日の件で有罪判決を受けた人の中には同議長も罪が重すぎると見ている例があることを示す。
 ヴァロール紙によると、現時点では最低2件、判決の見直し要請が出ている。
 一件目は24年10月に出た要請で、事件当日に大統領府内で逮捕された女性が14年間の刑を受けた件だ。この女性の携帯電話には、事件当日や陸軍本部前でのキャンプの様子を映したビデオや写真が残っていた。この判決見直し要請はフラヴィオ・ジノ判事の担当で、検察庁は見直し反対との意見書を出している。
 同様の要請は上院本会議場で捕まり、14年の刑を言い渡された男性からも出ている。この男性は「愛国者」と名乗るグループの一員で、「連邦政府の介入」を宣言してクーデターを実行しようとしていた。同件の担当はエジソン・ファキン判事で、検察庁は見直しに反対の立場をとっている。
 先週は最高裁前の像に落書きをした女性美容師に14年の刑が要請されたが、票の見直し要請で審理が中断。この女性は小さい子供が2人おり、結審まで自宅軟禁扱いとなった。
 三権中枢施設襲撃事件の被告への刑が厳しすぎるとの批判は他からも出ているが、同件報告官のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は、ボルソナロ氏らを被告とした審理の際、三権中枢施設襲撃事件では聖書を小脇に抱えた高齢女性だけを裁いている訳ではないと明言しており、刑見直しは個別に扱われる。
 なお、恩赦法には根強い反対運動もあり、三権中枢施設襲撃事件やクーデター疑惑のような、民主的制度に対する犯罪への恩赦適用を禁ずる法案も出ている。(2)(3)(4)(5)
 また、恩赦委員会のアナ・マリア・オリヴェイラ委員長は、三権中枢施設襲撃事件の被告や彼らへの恩赦を訴えている人達は恩赦の概念を歪曲しており、免責は民主主義への攻撃を助長するとの警告を発している。(6)


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