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ルーラが相互関税批判=まず被害実態見極める=交渉ダメなら同率報復

2025年4月5日

3日のルーラ大統領(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
3日のルーラ大統領(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 【既報関連】2日に米国のトランプ大統領が発表した相互関税は国際的に強い反発を招き、ドル急落などを引き起こした。ブラジルではルーラ大統領が同政策を批判したが、連邦政府はこの関税対策に対し、同じ税率をかけてやり返す方法でなく、あくまで対話を求めていきたいとの方針を示している。3日付フォーリャ紙(1)などが報じている。

 トランプ大統領による2日の相互関税の発表を受け、3日の市場は荒れた。ブラジルではドルが前日の終値より1・17%安の5・629レアルとなり、昨年10月に記録した5・622レアル以来の安値となった。
 また、相互関税で米国から高税率を課せられた国では株価の暴落が見られた。20%の税が課せられたEUは2・7%減、ドイツ、イタリア、フランスでは3%以上下がったほか、アジア諸国でも暴落が目立った。
 また、アップルの株価は9・25%、マイクロソフトは2・36%、エヌビディアは7・82%下落するなど、米国大企業の株価にも大きな影響が出た。
 そんな中、ブラジルは最低限の10%課税となり、3日の株価も0・03%しか下がらなかった。こうした状況を指し、ウォール・ストリート・ジャーナルはブラジルを「トランプ大統領との関税戦争に勝った国」と評価していた。(2)
 だが、連邦政府内に楽観的なムードはない。ルーラ大統領は3日、閣僚や支持派の連邦議員たちが参加したイベント「上昇に戻るブラジル」での演説でトランプ大統領への批判を行った。
 大統領は、「我々は民主主義に対する威嚇には黙っていない。主権も放棄しない。緑と黄色の国旗以外には敬礼せず、貧富には関係なく、いずれの国にも敬意を払うが、常に対等貿易を志す」と語り、「ブラジル製品に対して課すとされた税率については、連邦議会が承認した相互関税の法律と、世界貿易機関(WTO)のガイドラインに照らし合わせながら、我が国の企業と労働者を守るための適切な措置を講じていきたい」と語った。(3)
 2日までに連邦議会で承認された相互関税の法案では、ブラジル製品に対する貿易障壁を課した国にはそれと同等の関税を課すとあり、米国が課した関税と同率の関税を米国製品に課すことを認めているが、ジェラルド・アルキミン副大統領兼商工開発相はこの法案を行使するつもりはないとしている。
 アルキミン氏はユーチューブのポッドキャスト上のインタビューで、「連邦議会で承認された法案は良いものだ。だが、我々はこれを使うつもりはない。我々が望んでいるのは対話と交渉だ。ブラジルへの課税は10%だが、それにしても良くない。関税戦争での勝者はなく、全体としては負けだ」と答えている。(4)
 連邦政府や議会においても、まず、米国が仕掛けてきた相互関税によって実際に受ける影響を吟味した上で、対等な貿易を行うよう米国と交渉を行い、それでも効果がなければ、その時に初めて、議会で承認された対策に打って出るとの考えのようだ。(5)


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