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ルーラ大統領=CELAC首脳会議に出席=地域統一と協力強化目指す

2025年4月8日

左からペトロ・コロンビア大統領、ルーラ・ブラジル大統領、シェインバウム・メキシコ大統領、ボリッチ・チリ大統領(Foto: Ricardo Stuckert / Presidência da República)
左からペトロ・コロンビア大統領、ルーラ・ブラジル大統領、シェインバウム・メキシコ大統領、ボリッチ・チリ大統領(Foto: Ricardo Stuckert / Presidência da República)

 ルーラ大統領は9日にホンジュラスで開催される第9回中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)首脳会議で演説を行い、地域の統一と協力強化を目指す。中南米地域は現在、深刻な分裂状態にあり、トランプ米大統領の移民強制送還や関税引き上げに対して一貫した反応が示されていない。特にアルゼンチンのミレイ大統領が米国支持の立場を示しており、合意形成を妨げているとされている。また、ベネズエラのマドゥロ大統領も、国際的な逮捕状が障害となっており、出席自体が問題視されていると7日付オ・グローボ紙(1)(2)などが報じた。
 CELACは2011年12月に発足した国際的枠組で、中南米およびカリブ海諸国の33カ国が参加。その面積は2200万平方キロ以上に及び、欧州連合(EU)の5倍に相当する。人口は計6億7000万人で、米国の人口の2倍にあたる。
 ブラジル外務省中南米担当書記官のジゼラ・パドヴァン大使は、CELACが近年弱体化していると指摘し、今回のサミットが再活性化の一環であることを強調。また、ボルソナロ前政権下でブラジルが一度離脱したことにも言及し、ルーラ大統領が3期目の任期開始直後に、ブラジルの再参加を決定したことを改めて想起した。
 ブラジルが提案する議題には、26年の国連事務総長選挙に向けて中南米から女性候補者を推す調整が含まれている。候補としては、チリのミシェル・バチェレ元大統領やバルバドスのミア・モトリー現首相が挙げられている。(3)また、米州人権委員会(CIDH)の委員改選が控えており、ルーラ政権はメンバー間でのバランスを取ることを目指しているが、保守的なメンバー、特にボルソナロ派が多数を占めるリスクが指摘されている。
 ルーラ大統領は、飢餓対策や国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)への参加を推進し、中南米、特にアマゾン地域の国々が統一した声を上げることも期待している。
 CELACは、米国が参加しない点で米州機構(OAS)とは異なり、主に議論の場として機能する。ブラジルにとって最大の課題は全会一致での決定が求められる点で、特に、米国を支持するミレイ大統領が、CELACがトランプ大統領の政策に対抗する声明を出すことに反対していることが、足枷となっている。また、エルサルバドルやパラグアイ、エクアドルなどは米国の同盟国であり、この点が議論を難しくしている。
 さらに、CELACにはベネズエラのマドゥロ大統領が関与する問題もある。同氏は米国から麻薬テロ容疑で国際手配を受けている上、亜国の司法当局からも人道に対する罪で起訴されているため、ベネズエラを出国すること自体が常にリスクを伴う。もし、同氏が出席し、ルーラ氏との会談を申し込んだ場合、ブラジルは拒否することができないとされる。
 CELACと米国との関係が重大な局面を迎える中、ブラジルの交渉担当者は、コンセンサスの欠如により、最終宣言に至らない可能性があることを認めている。
 また、ジェンダーやミレニアム開発目標などを巡っても意見の相違がある。ブラジルは女性、平和、安全保障に関する宣言を提案しているものの、意見の一致を得るには多くの障害があると見ている。


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