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アマゾン地域=半年前干ばつ、今は洪水=気候変動で振れ幅拡大か

2025年4月8日

川の氾濫で冠水したロンドニア州内の高速道(Governo de Rondônia)
川の氾濫で冠水したロンドニア州内の高速道(Governo de Rondônia)

 ロライマ州は24年に記録的な干ばつに見舞われ、マデイラ川は同年10月に州都ポルト・ヴェーリョの観測点で水深19センチを記録した。だが、半年足らずの今月4日の水深は16・67メートルに達し、河岸のコミュニティ29カ所で約9千人が避難を要し、36のコミュニティが警戒態勢を敷く事態に見舞われていると7日付G1サイト(1)が報じた。

プルス川の氾濫で町中が水で覆われたボカ・ド・アクレ市(Rede Amazônica)
プルス川の氾濫で町中が水で覆われたボカ・ド・アクレ市(Rede Amazônica)

 これは、ロライマ州だけでなく、北部各州に共通して起こる「アマゾンの冬」の一幕だ。アマゾンの冬は南半球が夏に入る年末に始まる。北部ではこの時期、北半球と南半球から吹く貿易風で赤道地域にできる熱帯収束帯(ITCZ)と呼ばれる雲の帯によって雨が強まる。このITCZが強いほど降雨量も増え、川の氾濫や洪水が頻繁に発生するようになる。
 そう考えると、ITCZが強まる時期の北部の川の増水や洪水は自然現象といえるが、専門家が懸念しているのは、こうした変動が年毎に極端かつ頻繁になっていることだ。
 一例は伯国地質局の水文学技術者のマルコス・スアスーナ氏で、「このような極端な変動は過去にも起きてはいるが、(近年の動向は)この地域の水循環が加速していることを示している」という。
 アマゾンの冬の雨は北部には明確な季節がないことやITCZ、北大西洋から流れ込む湿った大気の各要素が重なって起きる自然現象で、貿易風で温まった大気によって発生した地表や植物からの水蒸気が大西洋からの大気が含む湿気と重なり、上空で凝縮することで大量の水分を含む雲ができ、強い雨を降らせる。
 強い雨は川の増水や氾濫を招くが、アマゾンは平坦な上に頻繁で大量の雨が降るため、雨水が排水され難く、洪水が長引く。その結果、自宅を離れて避難したり、親族や知人宅に身を寄せなければならない人が増え、孤立したりアクセスが困難な地域や集落ができる他、資産や資材の損失、農牧地や生産面での損失、汚染した水による健康上の問題、エコシステムの変化などの影響も出る。
 ロライマ州では年末~年始は水深6・04メートルだったマシャド川も、水深が11・34メートルに達して氾濫。サンタルジア・ドエステ市では学校が無期限休校となった。
 アクレ州では3月初旬にアクレ川が氾濫。州都リオ・ブランコでは最近まで、3万人余りが避難所生活をしていた。
 パラー州ではシングー川が氾濫し、サンフェリックス・ド・シングー市は国が緊急事態を認定。マラバー、オエイラス・ド・パラー両市では、トカンチンス川やイタカイウナス川の氾濫で孤立した集落も出ている。アマゾナス州では5河川の水深が昨年同期を上回り、62市中23市が警戒態勢を敷いている。
 伯国地質調査所は今年の洪水は記録的なレベルには達しないと見ているが、慣れているはずの住民も、干ばつと洪水の振れ幅が大きくなっていると感じたり、漁を続けるのが困難になってきていると感じたりしており、洪水の長期化で全てを失う可能性を恐れ、嘆いている。
 北部では雨季なら洪水、乾季なら干ばつという二つの季節しかないとはいえ、専門家は森林伐採や森林火災を含む人間の活動とそれに伴う地球温暖化や気候変動が、自然現象をより不安定で予測困難なものにしていると見ている。


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