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CELAC=ルーラが大同団結を訴える=新国際秩序、地域統合強調

2025年4月11日

CELAC首脳会議の開会式で演説するルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert / PR)
CELAC首脳会議の開会式で演説するルーラ大統領(Foto: Ricardo Stuckert / PR)

 ルーラ大統領は9日、ホンジュラスで開催された第9回ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会議で演説し、政治的立場の違いを超えて団結し、「新旧の覇権国」による干渉から主権と自主性を守る必要性を訴えた。これは、トランプ米大統領による移民の大量送還措置や一方的な関税強化に対する強い懸念に基づくもので、米中間の覇権争いが進行する中、CELAC諸国が再び大国の影響圏に組み込まれることを防ぐため、経済連携やインフラ整備による実質的な地域統合の必要性を強調したと、同日付エスタード紙(1)(2)(3)などが報じた。
 ルーラ氏は演説で、新たな国際秩序が米中を軸に形成されつつあるとの見方を示し、「恣意的な関税は国際経済を不安定にし、物価を押し上げる」と米国の対応を批判した。
 さらに、CELACに加盟する33カ国が協調してこうした状況に対応すべきだとし、輸送、エネルギー、通信分野のインフラ整備を通じた経済的統合の強化を提案。ブラジルとCELAC諸国との年間貿易額が860億ドルに達し、対米貿易額を上回っていることを強調した。
 また、政治的分断が意思決定の停滞を招いているとして、CELACにおける全会一致ルールの見直しを提言。「全会一致は非現実的で、機能不全をもたらしている」と述べた上で、「地域統合は喫緊の課題であり、イデオロギーの相違に左右されるべきではない」と訴えた。この日の最終文書採択では、パラグアイとアルゼンチンの代表団が拒否権の行使を試みたものの、反対姿勢を注記する形で最終的な採択に至った。
 地域が直面する課題としては、民主主義への脅威、気候変動、貧困と飢餓の克服が「三本柱」として挙げられ、温室効果ガス削減や気候変動抑制の実現に向け、先進国の資金支援を強く要請。また、各国の主権に対する大手ハイテク企業の干渉、クーデターや民主主義の押し付けの試み、表現の自由を歪める憎悪や偽情報の流布、科学否定主義にも懸念を示した。
 さらに、キューバへの経済封鎖やベネズエラへの制裁、ハイチの社会混乱といった米国の単独措置に対し、「地域諸国の主権を脅かす行為に沈黙することは多国間主義の崩壊を助長する」と警告。メキシコ大使館への侵入が問題となったエクアドルの事例にも触れ、「外交上の庇護という地域の伝統を回復すべきだ」と述べた。
 ルーラ氏はこの機会を利用し、メキシコのシェインバウム大統領と個別に会談し、両国の貿易関係強化で意見を一致。さらに、企業家の交流促進を目的に、2年に1度のビジネスフォーラム開催を提案した。(4)
 一方、左派主導とされる同首脳会議が行われたのと同時に、右派のミレイ・アルゼンチン大統領はパラグアイを訪問し、同じく右派のペニャ同国大統領とアスンシオンで会談。両国は、トランプ寄りの立場を取る中、CELAC諸国の連帯というルーラ氏の意向に反する動きを見せた。


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