鉱山動力相=「6千万人の電気代無償化」=財相は議論すらないと否定

10日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)よると、アレシャンドレ・シルヴェイラ鉱山動力相は同日、政府が検討中の電力部門改革案の一環として、社会的電気料金(タリファ・ソシアル・デ・エネルジーア)と呼ばれる低所得者世帯向けの割引制度を改変し、免除範囲を拡大する方針であると発表した。
現行では、統一登録システム(カダストロ・ウニコ)に登録され、月間使用量が220キロワット時(kWh)以下の低所得世帯に最大65%の割引を提供しており、約4千万人が対象となっている。なお、全額免除は先住民とキロンボーラ(逃亡奴隷の子孫の共同体の住民)の世帯に限定されている。
今回提案された新たな措置では、電気の無償提供範囲を拡大し、月間使用量が80kWh以下の世帯について全面的な免除を適用する方針が示された。これにより、恩恵を受ける国民の数は最大6千万人に達すると見込まれている。
さらに、統一登録システに登録され、かつ収入が最低賃金以下であるにもかかわらず、現行制度の適用対象外とされている世帯については、動力開発勘定(CDE、電力会社が拠出するエネルギー開発支援基金)の徴収が免除される見込みだという。
だが、同省によれば、この制度の拡大により、その他の一般消費者が支払う電気料金は約2%上昇する可能性があるという。
一方、財源を巡っては省庁間で意見が分かれている。シルヴェイラ氏は、岩塩層下の油田開発で得た社会基金の活用を主張しているが、フェルナンド・ハダジ財相はこの方針に否定的で、「財務省にも内閣官房にもそのような提案は届いておらず、検討もしていない」と述べた。ルイ・コスタ官房長官も、関連する法案は現在、審議されていないことを確認している。
ハダジ氏は、「財務省があらゆる提案を検討することを妨げるものはない」と述べつつも、「現時点では何も進行していない」と強調。提案の財政的影響についても把握していないと語った。
シルヴェイラ氏によると、月80kWhという基準は、「冷蔵庫、電気加熱式シャワー、アイロン、携帯電話の充電器、テレビ、6部屋分の照明」を使用する平均的な家庭の消費量に相当するといい、「現在は生活に困窮する一般家庭が、組織化された一部の利益を肩代わりしている」と不公平性を指摘した。
同氏はまた、「逆ロビンフッドの法則」と称して、富裕層優遇の現行制度を批判すると共に、改革により、電力市場の完全自由化を推進する考えを示した。改革案は、最終的にすべての消費者が電力供給事業者を自由に選べる市場の実現を目指しており、今後、内閣官房の審査を経て、上半期中に国会へ提出される見通しだという。
国家電力庁(Aneel)のサンドヴァル・フェイトーザ長官は、「最後の大きな制度改革は第一次ルーラ政権期だった」とし、現行モデルの見直しを支持すると発言。財政資源と補助金の見直しを組み合わせ、より多くの人が社会的電気料金制度を利用できるようにするべきだと述べた。
下院鉱山動力委員会のジエゴ・アンドラーデ委員長も、「電力部門の近代化は不可避であり、公共部門がその妨げになってはならない」として、制度改革の必要性を強調した。