site.title

ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(168)

2025年5月21日

 さらに父親が、日本時代は北九州の、命がけの喧嘩が日常茶飯事だった炭鉱地帯で働いており、全身四十数カ所に刀傷があった。それでいて愛国心は強烈であった。
 Fは、この父親を誇りにしていた。その父親が、子供のFに拳銃を持たせ、撃ち方を教えた。家の中でやるので、壁は弾痕だらけだった。 
 Fたちは、興道社とは関係なかった。その名前すら聞いたことがなかった。興道社の創立は一九四四年二月であるから、未だ存在していない。
 また、以前、養蚕舎や薄荷農場の襲撃が、何処かで起きたという話を耳にしたこともなかった。
 Fが襲撃を思いついたのは、父親が仲間と、養蚕家のことを非難...

会員限定

有料会員限定コンテンツ

この記事の続きは有料会員限定コンテンツです。閲覧するには記事閲覧権限の取得が必要です。

認証情報を確認中...

有料記事閲覧について:
PDF会員は月に1記事まで、WEB/PDF会員はすべての有料記事を閲覧できます。

PDF会員の方へ:
すでにログインしている場合は、「今すぐ記事を読む」ボタンをクリックすると記事を閲覧できます。サーバー側で認証状態を確認できない場合でも、このボタンから直接アクセスできます。

Loading...