食の安全=アフリカ諸国との対話実施=飢餓対策や農業の知識を共有

19~2日、ブラジリアで、「食の安全と飢餓との闘い、農業開発のための第2回ブラジル・アフリカ対話」と題するイベントが開催され、アフリカ大陸から40以上の国や機関の代表150人余りが参加したと20日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。
このイベントの目的は、食糧の安全性を確保し、飢餓を根絶すると共に、健康的な食べ物を家庭の食卓に載せるという、ブラジルとアフリカ諸国に共通する目標を実現することだ。
ブラジルは数千万人を飢餓状態から脱出させた国として知られており、アンゴラの首都ルアンダで開催された第1回対話に続くイベントには、40以上の国と機関の代表150人余りが集まり、食の安全保障や飢餓との闘いなどについて学んだ。
昨年の初回イベントは家族農、収穫モニター、市場分析、最低価格をテーマとし、専門家97人の訓練も行われた。
家族農は継続したテーマの一つで、国家配給公社(Conab)が20日に提示した事業や働きでは、食糧獲得プログラム(PAA)や公的備蓄、家族農へのインセンティブに関する公共政策が取り上げられた。
Conabやブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)はアンゴラの農林省と提携し、同国の技術者75人を対象に社会供給政策とプログラム、生産コスト、保管、品質管理を検査に関する新たな研修などを行っている。
また、パウロ・テイシェイラ農業開発家族農相は「食料主権の基本は食料生産だ。健康的な食料の生産は疾病予防の観点からも重要だ」と強調。家族農は約1千種類の食品を生産しているが、アグリビジネスでは15種類しか生産しておらず、人々の食卓に食品を届けているのは家族農であること、祖先の健康的な食べ物中心に食文化の復興を含む食の多様性に焦点を当てる必要があることに言及した。また、小規模農家支援のための資金援助や保険、公共調達政策や公的備蓄、公共購入といった支援策は食の安全性を保証するとし、農業改革を含めた飢餓撲滅に向けた国家政策の一部を説明。
20、21日は家族農の生産現場や魚の養殖現場、Conabの貯蔵施設の視察なども行われた。
最終日の閣僚会合ではカルロス・ファヴァロ農相が、「持続可能で気候変動に強い農業食品システムと家族農の重要性―各国の経験」というパネルでブラジルの農業の発展を強調。50年前のブラジルは食糧輸入国だったが、異なる生態系に応じた技術の創出と普及により、農業部門の生産性、持続可能性、競争力が大きく向上したことや、アフリカ諸国の大半はブラジルと似た気候であること、ブラジルの牧草は全てアフリカ原産のため、牧草と牛の遺伝的改良によって得た知識をアフリカに還元すれば研究のために50年も待つ必要がなくなることなどをあげ、ブラジルで開発された技術をアフリカで再現する可能性などを強調した。
ワルデス・ゴエス地域統合開発相も、水の安全保障、家族農、魚の養殖、果樹栽培などの分野での経験と技術の交換は飢餓や貧困と闘うために不可欠と語った後、(気候や土壌が似ている)ブラジルでの経験や技術にはアフリカ諸国でも共用できるものが沢山あると強調した。
エデガル・プレットConab総裁の「ブラジルの富の多くは植民地宗主国によって意に反して連れて来られた奴隷達から生み出されたものだから、アフリカ諸国とのパートナーシップはブラジルがアフリカ大陸の人々に対する歴史的賠償ともなる」との言葉や、同公社国際関係諮問室長のマリソン・デ・メロ・マリーニョ氏の「ブラジルは教えると共にアフリカから多くを学んでいる」という言葉も参加者の心をとらえたようだ。