site.title

気候変動は開発議題=元環境相が見解表明

2025年5月28日

イザベラ・テイシェイラ元環境相(© Cesar Bruneli/ACSP)
イザベラ・テイシェイラ元環境相(© Cesar Bruneli/ACSP)

 サンパウロ商業協会が26日に開催した「ブラジルと第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)」で、イザベラ・テイシェイラ元環境相が「気候変動に関する各国間の対話や立場は利益目標から切り離されたものではない」と述べたと27日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
 同氏は2010~16年に環境相を務めた人物で、ルーラ政権やジルマ政権関係者は常に、気候変動問題は環境議題ではなく開発議題と理解しており、現在でいう地政学的状況の一部として評価していると語った。
 また、「『もう一度見直す価値あり』という言葉に騙されてはならない。彼らは皆、国際金融システムの安定性、資金コスト、技術へのアクセス、中国と米国による世界の分断などの方程式に気候リスクを織り込むという、利害にまつわる駆け引きをしているのだ」と続けた。
 また、「ブラジルでは誰も、次に何をしようとしているかを公にしていない」として、2015年のパリ協定は「米国を地球規模の問題を語る場に復帰させる」ことを主な目的として誕生したと述べた。これは、1992年に抵抗しながらも国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に加盟した米国が、1997年の国際協定である京都議定書の批准を拒否したことが背景にある。
 京都議定書とパリ協定は共に温室効果ガス排出に関する約束を行っており、京都議定書は複雑な交渉プロセス故に2005年に発効。京都議定書からパリ協定に至るまで変わらないのは、温室効果ガス排出量の大半を占める先進国が排出コストを負担したがらない姿勢だという。
 また、気候変動問題に関する米国の科学は世界でも最も洗練されたものの一つだが、米国の考え方は高資格を持つ専門家が示す科学的な証拠に反駁する科学的否定主義につながっており、米国では政治的に気候変動問題を優先事項として扱わず、科学にも意図的に反する行動をとっていると指摘。同氏は、「実用主義と現実感覚」が必要だとも述べている。
 また、「世界もブラジルも、『私はこう思う、ああ思う』と繰り返す、無知の特権や憶測の特権に頼って生きることはできない。欧州の人達は知識機関や評価基準を持っているから、科学的な証拠や現実を真剣に受け止めている」と語った。同氏によると、ブラジルは2015年に気候変動問題を優先課題に取り入れており、その視点から、中国や米国と二国間協定を締結したという。
 ただし、年間の二酸化炭素排出量を45~88億トン削減することを目標とする国際条約に先立つ意向書の「森林に関するニューヨーク宣言」に署名しなかったのは、協議が十分だった上、森林伐採の可否が明確に区別されていなかったからだと説明した。


カンヌ二冠はどんな映画?=スタイリッシュな政治スリラー前の記事 カンヌ二冠はどんな映画?=スタイリッシュな政治スリラー写真で問う「世界の本質」=サルガドの生涯と遺した言葉次の記事写真で問う「世界の本質」=サルガドの生涯と遺した言葉
Loading...