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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(173)

2025年5月28日

 家人の話によると、イタリア戦線から復員後、戦争の話をすると、ネルボーゾになり、肌に白い斑が点々と浮いた。医者の指示で、戦争の話はしないようにし、本人も忘れるべく努めてきたのだそうだ。
 筆者は止むを得ず「何でもよいから覚えていることを話してくれ」と頼んだ。
 すると、
「生まれは一九二一年、インダイアツーバ。小学校もロクに行かず、七、八歳頃から牛追いをした…」
と語り始めた。
 インダイアツーバはサンパウロの北西約百㌔の処に在る工業都市である。当時は農村であった。 
 以下は、彼の口から出た断片的な言葉を繋ぎ合わせたものである。
 「一九四二年に召集...

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