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最高裁=SNS運営者の責任拡大支持=グーグルは検閲リスクに懸念

2025年7月10日

米カリフォルニア州サニーベールのグーグル社オフィス(Foto:Greg Bulla/unsplash)
米カリフォルニア州サニーベールのグーグル社オフィス(Foto:Greg Bulla/unsplash)

 最高裁で進められている、SNSなどのプラットフォーム上の投稿内容に関する審理で、ユーザーだけでなく、運営者にも法的責任を課すべきとの意見が多数を占めていることを受け、グーグルは「検閲につながる恐れがある」と懸念を表明した。責任の範囲が不明確なため、企業が過剰に慎重な対応を迫られる可能性があると、12日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
 最高裁では現在、2014年制定のインターネット基本法(Marco Civil da Internet)第19条の合憲性を審理中で、プラットフォームの法的責任や投稿削除義務の最終的基準が示される見通しだ。同条項は、裁判所の命令があった場合に限り、第三者の投稿に対し削除責任を負うと定めている。
 審理の焦点は、SNS上の違法投稿に対し、運営側が民事責任を負うべきか否かで、対象は反民主的発信や選挙制度への攻撃、人種差別やホモフォビアなどのヘイトスピーチ、当局に対する犯罪扇動、児童・青少年の自殺や自傷を助長するライブ配信などとされている。
 グーグルのグローバル・アフェアーズ担当社長のケント・ウォーカー氏は、「民主主義への脅威や暴力、児童への脅迫など、明確な範囲であれば理解できるが、提案はあまりに広範かつ曖昧で、細部に悪魔が潜んでいる」と指摘。プラットフォームに法的責任を課す他国の例は知らないとし、今回の動きにより、テック企業は議論の余地がある表現に過度に慎重にならざるを得なくなるとの懸念を示した。
 一方で同氏は、インターネット基本法第21条を「優れた出発点」と評価。同条項では、被害者や代理人からの通知を受けた後も裸体や性的行為を含むプライバシー侵害の投稿を削除しなかった場合に責任が生じるとされている。同社長は、「そうでなければリスクが過大になる」と語った。
 グーグルは約5万人のスタッフがコンテンツの精査・管理に従事し、人工知能(AI)モデルで投稿が社内ポリシーに違反していないかを監視している。ウォーカー氏は、検索や翻訳、地図など、サービスごとに対応が異なる必要があるとも述べた。
 同社幹部らは今週、ブラジリアで三権の代表と会談し、検閲の懸念や削除要件の明確化の必要性を訴えた。こうした会合は、最高裁が多数意見を形成する前日にあたる6月10日に始まった。
 最高裁は12日に審理を再開。モラエス判事が責任拡大に賛成票を投じたことで、賛成7、反対1となっている。
 判事の立場は一様ではない。メンデス判事は第19条を「時代遅れ」と評価し、SNS規制は表現の自由を脅かさないと主張。トフォリ判事は裁判外通知後の迅速な削除を求め、フックス判事は第19条を「民事免責」規定とし、違憲とした。バローゾ判事は児童ポルノやテロ関連投稿の即時削除を重視。ジノ判事は表現の自由に一定の制限は可能とする中間的立場を取り、ザニン判事はプラットフォームにも伝統メディアと同様の責任を求めた。一方、メンドンサ判事のみが現行法の維持を支持している。
 同件の審理は25日に再開される予定で、ファキン判事の投票から始まる。


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