グーグルに賠償金支払い命令=ストリートビューに全裸男性

グーグルのストリートビュー撮影車がアルゼンチンの道路を写した画像に、全裸姿の男性が写りこんだままインターネットに公開され、この男性は精神的な苦痛を受けたとして、裁判所はグーグル社に1万2500米ドル(約186万円)の賠償金支払いと画像削除を命じた。この事例は、デジタル時代におけるプライバシー権の限界とその保護方法について再考を促す警鐘となっていると24日付テラなど(1)(2)(3)が報じた。
事件は2017年、ブエノスアイレス州ブラガド市で発生。男性が自宅の庭にいたところ、グーグルのストリートビュー撮影車によって偶然にその姿が捉えられ、インターネット上に公開された。画像には、男性が背を向けた状態で、2メートル以上の高さの壁越しに庭にいる様子が写っており、顔にはぼかし加工が施されているものの、家の様子から地域住民には容易に特定されてしまった。さらに、同年11月28日に地元ニュースメディアによって報じられたことをきっかけに一気に広まった。
男性は、画像が公開されると同時に、近隣住民や知人から嘲笑を受け、精神的な苦痛を抱えることとなった。特に、小さな町で働く警察官として顔が広く知られていたため、公開された画像は彼に対する住民の信頼を大きく損ね、町全体での評価にも深刻な影響を与えることとなった。弁護側はこのプライバシー侵害に対し、グーグル社の責任を問う訴えを起こした。
最初の判決では、裁判所はグーグル側に有利な判断を下したが、上訴を経て今年5月29日、最終的にグーグル社に賠償金支払いと画像削除を命じる決定が下された。判決文では「これは公共の場で撮影されたものではなく、平均的な身長よりも高いフェンスの向こうにある自宅という限られた空間内で撮影された人物の画像である。プライバシーと親密性の侵害は甚だしい」と批判されている。
さらに、裁判所はグーグル社に対して、画像削除を怠った場合、1日あたり10万ペソ(約1万1500円)の罰金を科すことを命じた。
この訴訟を受け、グーグル社は亜国内でのプライバシー保護に関する新たな取り組みを発表。ストリートビュー撮影車の進行ルートや撮影方法を再検討し、プライバシーを守るための新たな技術的措置を導入することを約束している。
この事例は、ストリートビューやその他のオンラインサービスがもたらす新たなプライバシー問題に対する警鐘となっている。