開拓当時の苦闘物語(2)=サンパウロ 吉田しのぶ
話は前後するが、最初の入植はイビウーナである。独立に当たって借りた荒地は家もなくまずは家を建てるところから始めなければならない。家といっても掘っ建小屋である。この土地は再生林で炭を焼いた後らしくかすかな平地があった。そこに家をたてることにして、日本から持ってきた茣蓙に生後6か月の子供を寝かし、整地作りに鍬をふるった。空腹を訴える子供の泣き声に授乳の時間だと、鍬を捨てて子供の傍に近づいたその時、すぐ傍に猛毒の蛇カスカベールを見たとき気も動転して子供を抱き上げ叫び声をあげた。夫が飛んできて一打に蛇を仕留めた。間一髪であったとあの時の情景は今思い出しても身震いがする。
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