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ブラジル日系社会=『百年の水流』(再改定版)=外山脩=(272)

2025年10月23日


仲間内では、吉谷は「先生様」と呼ばれ、妻子とともに特別扱いされていた。宿舎も食事も別で、隊員たちは、先生様一家のことを話すときは、敬語を使った。

吉谷は内部では、一種のカリスマ性があった。が、外部からみれば、逆であった。

「吉谷」は「ヨシガイ」と読むが、ある邦字雑誌は、

「ヨシガイではなくキチガイではないか」

と書いた。

十月、桜組の婦女子から成る一隊が、サンパウロの中心街に現れ、パンフレットを配布した。全員、白だすきに白鉢巻姿であった。

パンフレットは日本語で書かれてあったが、邦字新聞の記者が読んでも、チンプンカンプンだった。

警察は代表者を呼んで通訳付きで調...

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