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日伯補完・共生の未来語る=ブルーツリー青木智栄子さん=ラテンアメリカ協会講演で

2025年11月22日

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「今日はこの大切な場で皆さんと一緒に〝ブラジルと日本のつながり〟を感じられることを心からうれしく思っています」。ブルーツリーホテルズ創設者で社長の青木智栄子さんはそう穏やかに語りかけた。一般社団法人ラテンアメリカ協会(在東京)は19日21時(日本時間)、オンライン講演会「第3回ラテンアメリカなるほどトーク」を開催し、「日本とブラジル、共生の未来へ」をテーマに青木さんが講演を行った。

青木さんは冒頭で「今の日本の習慣には慣れていません」と達者な日本語で謙虚に語りつつ、「その分、ブラジルの風土や感覚はよく理解しています」と笑顔で述べ、ブラジルの講演会でよく見られる拍手などの聴衆の反応を歓迎する旨を言外に巧みに伝え、国境を越えて育んだ感性の軽やかさをにじませた。

講演の柱は「日伯友好130周年の歴史に織り込まれた〝見えない糸〟」だ。初期の日本移民は単なる労働力として見られがちだが、青木さんの視点は異なる。「彼らが運んだのは、規律、尊敬、努力、協力――人としての価値観」。それが静かにブラジル社会に根づき、今では約270万人の日系ブラジル人が、両国を結ぶ〝生きた橋〟となっていると論じた。

一見対照的な社会に見える日本とブラジルの共存の理由にも触れた。日本は「沈黙で語る社会」、ブラジルは「抱擁で語る社会」とし、日伯両側の特徴を「形式と愛情」「真面目さと遊び心」「計画と即興」と要約し、これら相反する価値の〝真ん中〟にあるものこそ「人間らしさ」だと説き、それを形にしたのが27年前に創業したブルーツリーホテルだと説明した。

各国が抱える環境、農業、AI、災害対策、水資源など多岐にわたる課題を挙げ、「どれも一国だけでは解決できない」と指摘。日伯の補完関係が生む理想的な協力関係を「日本の技術と精度、ブラジルの柔軟性と創造性――鳥は二つの翼があるとき初めて飛べる」と例え、「ここにいる皆さんこそが、未来をつくる架け橋になる」と語り、講演は拍手に包まれて締めくくられた。

その後の質疑応答では、参加者から積極的な質問が相次いだ。青木さんは「日本を尊敬し、興味を持つブラジル人は本当に多い。素敵なブラジル人も一杯いる。進出企業の中でブラジル人社員を盛り立て、活躍させることがここで成功するコツ」などと、巨大スーパー網「マガジン・ルイザ」経営審議会議長のルイザ・ヘレナ・トラジャノさんら一流経営者との交流体験から紡ぎ出された見識が次々に語られた。


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