税制改革法案に大統領が正式署名=新デジタルプラットフォームで統一
連邦政府は1月13日、数十年にわたる議論を経て「税制改革(reforma tributária)」の重要な法的枠組みを政治決着させた。ルーラ大統領はこの日、連邦議会が昨年末に承認した補完法案(PLP 108/2024)を正式に署名し、新たな税制運用の中心となる制度設計を確定した。併せて、デジタルプラットフォームのローンチを行い、現在は自治体ごとに行われている電子請求書(Notas Fiscais)や税額データを集約・管理する基盤を整えることを打ち出した。これにより、税務行政の透明性と効率性の向上を目指す新たな段階に入った。13日付ヴァロール紙サイト(1)(2)(3)が報じた。
税制改革自体は、2023年に成立した憲法改正第132号に基づき進められてきた構造改革の一環で、従来の複雑な税体系を見直し、州税・市税を統合する新たな付加価値税制(IBS: Imposto sobre Bens e Serviços)と連邦レベルの消費税(CBS: Contribuição sobre Bens e Serviços)を柱とする。また、相続・贈与税(ITCMD)、不動産取引税(ITBI)など周辺税の一般原則も明確化された。新制度の実施は段階的で、IBSの本格運用は2029年以降を想定しているが、全国的な調整期間は2033年まで続く見込みだ。
今回の署名では、政府が掲げる「透明で公平な税制運営」のためのプラットフォームが同時に発表されたことが注目される。デジタル基盤上で税務情報が統一的に管理されることで、地方自治体や連邦政府がリアルタイムで経済活動の状況を把握できるようになる。
控除(exemption)や還付(devolução)の処理も統合され、現行制度下で発生している事務的混乱や脱税リスクの低減が期待される。透明化は、事業者や納税者の予見可能性(previsibilidade)を高め、対外的な信用力強化にも寄与するとの分析もある。
税制改革への期待の背景には、長年の税体系の非効率性と経済成長鈍化への不満がある。従来の制度では、州・市によって税率や課税方法が異なり、企業や消費者に大きな負担を強いてきた。複数税の累積的徴税は競争力を損ない、経済全体の成長阻害要因と指摘されてきた。改革支持派は、新制度により税の重複や不透明な負担が解消され、中長期的に国内投資や雇用が促進されると主張する。
こうした動きの中で、フェルナンド・ハダジ財務相は税制改革を財政持続性の要と位置づけ、経済界や議会での説明に奔走している。ハダジ氏は2025年の別の機会にも、税制・財政運営の改善策を説明し、低所得者層を対象にした所得税の免除や富裕層への税負担の見直しを通じて、「不公平な税制の是正」を進めると述べていた。税制改革を単なる税率変更ではなく、「税的正義(justiça tributária)」の実現と位置付け、広く国民の理解を求めている。
署名された法案は、税務当局間の協力を強化する「IBS統括管理委員会(Comitê Gestor do IBS)」を設け、連邦・州・市の税務当局が共同で運営する仕組みを明記している。委員会は税収の配分や統一的基準の設定などを担うことになり、制度移行期の混乱を抑える役割を果たす。
大統領もこの制度設計の意義を強調し、「法的安定性(estabilidade jurídica)と予見可能性の確保は社会全体の信頼につながる」と述べた。税制改革は単に収入源を整理するだけでなく、裁判リスク低減や投資環境の改善にも資するとの認識を示している。
ただし課題も残る。経済界からは、特にデジタルプラットフォーム導入に伴うシステム調整や中小企業への影響を懸念する声が上がる。税収の配分ルールや実務対応の細部設計には未確定の部分も多く、実運用を巡る議論はこれから本格化するとみられる。さらに、改革の進行中に経済環境が変化すれば、政府の財政計画にも修正を迫られる可能性がある。税制改革は単なる法律改正ではなく、制度移行と運用改善のプロセスとして捉える必要があるとの指摘が専門家から出ている。
いずれにせよ、今回の法的完結とデジタル化基盤の整備は、ブラジル税制が新たな段階に入ったことを象徴する出来事だ。改革の効果が実際に経済成長や税収改善に結び付くかは、今後の運用と社会的合意形成にかかっている。









