ダイソーブラジル=カタカナ表記の名前ハンコ=日本文化体験型商品を拡充=SNS発で若年層に浸透
日本発の均一価格雑貨チェーン、ダイソーのブラジル法人が、日本文化と現地市場の感性を融合させた商品開発で注目を集めている。ブラジル人の名前をカタカナで表記した「カタカナハンコ」が若年層を中心に支持を広げ、SNSを起点に話題化している。
同商品は、ダイソー・ブラジル代表の大野恵介氏が約10年前から温めてきた構想を具現化したものだ。文具という実用品の枠を超え、日本文化そのものを「体験価値」として提供する狙いがある。世界最大の日系コミュニティを抱えるブラジルでは、アニメや食文化にとどまらず、文字や美意識に対する理解も深い。漢字やカタカナは、意味を持つ記号として、また視覚的に印象的なアイコンとして受け止められている。
日本では電子契約やデジタル認証の普及により押印文化が縮小する一方、ブラジルでは「自分の名前が異国の文字になる」こと自体が新鮮な体験となる。特にタトゥー文化が広く浸透する若者層の間では、日本語文字が自己表現の一形態として評価され、カタカナハンコも「持ち歩ける日本文化」として受け入れられている。
開発プロセスでは、公式SNSを活用したユーザー参加型の手法を採用した。商品化を希望する名前をフォロワーに募り、要望の多いものから順次ラインアップに反映。発売前からコミュニティ内での期待感を高め、需要の可視化にもつなげた。発売後も、ギフトカードへの押印やイラストのサイン代わりに使うなど、新たな活用方法を継続的に発信し、日常生活への定着を図っている。
販売現場でも工夫を凝らす。扱う名前の種類が多いことから、欠品が目立つリスクを避けるため、あえて通常の棚陳列は行わず、レジカウンターで番号を指定して購入する方式を採用した。スタッフと顧客が会話を交わしながら商品を選ぶプロセスが、特別感のある購買体験を生み、店舗の「情緒的価値」を高めている。
現在は想定を上回る需要が続き、「自分の名前も追加してほしい」との要望が相次ぐ。今後は需要予測の精度向上や在庫管理の高度化に取り組むとともに、ビジネスシーンでの使用を想定した漢字ハンコの展開も検討する。文化的価値を軸にした商品開発を通じ、ダイソー・ブラジルは日伯間の新たな接点づくりを進めている。








