Vagabundo
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=12
やがて、一軒の灯火もない家の前に馬車は停まった。田倉の家族は馬車から降りたものの、さて、これからどう...15/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=11
「バカもの。飯に砂糖などかけて食べられるか。常識のないアマめが」 田倉は気に入らないことがあると直ぐ...14/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=10
どの家も同じ大きさで、白い壁、素朴なせんべい瓦の屋根、眼窩のような二つの窓と入口が同じ方角を向いてい...13/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=9
二家族は、その裸木の下で耕地からの出迎え便を待っていた。強風に揺れ続ける茄子型の木綿の実が、今にも自...10/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=8
全長四〇メートルくらいの駅舎で、機関車がプラット・フォームに停まると、他の車輌はすべて野晒しとなる。...07/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=7
車内での昼食はパンにハムを挟んだものが配られた。パンは長く巨大で、ハムは外まではみ出しているため頬ば...06/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=6
後で訊くと、ホテルの主人はこの革命をすごく気に病んでいて、物見高いお客を極度に戒めているとのことだっ...03/06/2023
小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=5
男たちはブラジルで通常使用する労働にも便利だというカーキ色の服をまとっていたが、仕立ての悪さか、体に...02/06/2023