site.title

《ブラジル》大統領が連邦予算を裁可=保健環境を犠牲に公務員に予算割く

2022年1月26日

ボルソナロ大統領(Youtube)
ボルソナロ大統領(Youtube)

 【既報関連】ボルソナロ大統領が24日、年間予算法(LOA)を裁可した。大統領は給与調整を求めてストも辞さないとしている連邦公務員の給与調整用に17億レアル、選挙基金にも49・6億レアルを割いたが、社会保障や保健、環境に対する支出を削減し、物議を醸している。24、25日付現地紙、サイトが報じている。
 昨年12月に議会が承認したLOAでは、大統領への忠誠度の高い連邦警察、連邦道路警察、連邦刑務所職員の昇給のみが認められ、他の連邦公務員が反発。中銀や国税庁の職員が役職を返上した他、18日には大規模な抗議行動も実施。ゼネストも辞さない構えだ。
 24日付官報に掲載されたLOAでは、連邦公務員の給与調整費として17億レアルが割かれ、議員の選挙対策費でもある議員割当金も確保された。
 だが、これらの資金を確保するため、大統領は31・8億レアルの予算に拒否権を行使。削減額最多は労働社会保障省の10億レアルで、教育省7・4億レアル、地域開発省4・6億レアル、市民省2・8億レアル、インフラ省1・8億レアルと続く。

 新型コロナ対策や現政権の問題点として国際的に注目されている環境関連部門も削減対象となった。
 保健・科学部門では、新型コロナワクチンや新型コロナ用検査キットの生産も手掛けるオズワルド・クルス財団(Fiocruz)が研究費を1270万レアル削減された。
 また、環境監視機関の国立再生可能天然資源環境院(Ibama)は1720万レアル、シコ・メンデス生物多様性保全研究所(ICMBio)も7560万レアルを削られた。
 さらに、先住民居住区の監視などを担当する国立インジオ保護財団(Funai)が160万レアル、国立植民農地改革院(Incra)が17万1900レアル、農牧調査研究公社(Embrapa)も4300万レアルを削られている。
 一方、かねてから問題視されている予算案審議時の報告官の裁量となる秘密予算の165億レアルには手がつけられていない。
 連邦公務員らは24日、27日に時限ストを行い、給与調整交渉を継続すること、3月中に応じない場合はゼネストも辞さないことを改めて発表した。


《ブラジル》地理統計院=国勢調査開始を2カ月延期=調査員の採用遅れ8月から前の記事 《ブラジル》地理統計院=国勢調査開始を2カ月延期=調査員の採用遅れ8月から《ブラジル》ブルマジーニョ・ダム決壊から3年=6人が行方不明のまま=最近の大雨で危機再び迫る次の記事《ブラジル》ブルマジーニョ・ダム決壊から3年=6人が行方不明のまま=最近の大雨で危機再び迫る
Loading...