《ブラジル》鉱物採掘会社が反対の意向表明=先住民居住区の開発関連法案
【既報関連】連邦政府が2020年に提出したが審議がとまっていた、先住民保護区での鉱物採掘を合法化する法案の審議が急がれているが、鉱物採掘会社などが同法案に反対の意向を表明したと15日付現地サイトが報じた。
この法案は、ロシアによるウクライナ侵攻で深刻になった肥料の国内生産を増すためにも必要とされ、下院が先週、緊急法案扱いする事を決めている。アルトゥール・リラ下院議長はこれを受け、法案の審議を急ぐために特別委員会を開設して30日間かけて法案を練る事と、4月の12~14日に本会議にかける意向である事を明らかにしていた。
連邦政府は、先住民居住区には肥料の国内生産に欠かせない鉱物の鉱床があり、外国に肥料を依存している現状を改善するためには鉱物採掘の合法化が不可欠としていたが、実際には肥料に使う原材料の鉱床の大半は先住民保護区以外の地域にある事も判明していた。
15日付現地サイトによると、大手の鉱物採掘会社や研究機関を代表する研究所であるブラジル鉱物院(Ibram)は、先住民保護区の開発は十分な討議を重ねるべきで、特に先住民の声には耳を傾けるべきとし、緊急審議にかける事も含めた法案承認に反対する意向を表明したという。
Ibramは、地政学上の研究も含め、法定アマゾンやそこに住む人々とその命を守る事を重視すべきとの考えも強調している。
連邦政府は11日に肥料生産に関する国家計画も発表したが、先住民や環境運動家、環境保護団体などは一様に、先住民保護区の開発には慎重である事を求めている。
なお、テレーザ・クリスチーナ農務相は肥料の輸入に関する交渉を行うためにカナダを訪問するとされていたが、同国ではブラジル産の肉類輸出などの交渉も行われており、同国への農産物輸出に関する合意も得たようだ。