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えっ、BRICS通貨登場⁉︎=SNS拡散動画の真偽は

2025年7月19日

「BRICS通貨」として紹介された記念紙幣(Foto: X@sputnik_brasil)
「BRICS通貨」として紹介された記念紙幣(Foto: X@sputnik_brasil)

 「BRICS通貨がついに誕生か?」――そうした期待を煽る動画がSNS上で拡散している。だが映像に映る紙幣は本物ではなく、国際会議の場で配布された〝シンボリックな記念品〟にすぎず、ブラジル政府も「独自通貨の創設は事実無根」と否定する事態に至っていると18日付G1(1)が報じた。

 問題の動画には「BRICSの200ルーブル紙幣がロシアの国際経済フォーラムで発表された」とのキャプチャーと共に紙幣が映し出され、表面には、主要加盟国であるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの各国旗が円状に並び、裏面にはナイジェリアやベラルーシといったパートナー国を含む複数の国旗が渦巻状に配置されている。

 同様の投稿は25年6月以降、SNS上で継続的に拡散されていたが、今年7月6〜7日にリオで開催されたBRICS首脳会議後、その広がりはさらに勢いを増した。

 25年7月12日に投稿されたインスタグラムの一件には「BRICS初の公式紙幣が公開された。この紙幣は、新たな金融秩序の構築を象徴するもの」と虚偽の主張を書いた投稿も確認されている。

 だが、当該紙幣はBRICS公式貨幣ではない。G1が運営する事実確認サイト「ファット・オウ・フェイキ」によれば、この映像はロシア国営通信社スプートニクのXアカウントに掲載された動画が原典であり、25年6月18日にロシア・サンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムの場で、象徴的な意図をもって紹介された紙幣だという。

 同サイトの取材に対し、BRICS議長国であるブラジル政府は、「独自通貨を創設したというのは虚偽である」と断言した上で、「現在議論されているのは、加盟国間の商取引において各国が自国通貨を使用する可能性に関するものであり、共通通貨創設を目的とするような提案は存在しない」と明確に述べている。

 問題となっている紙幣は、ロシア商工会議所の副会頭を務める実業家ウラジーミル・パダルコ氏が、会合中の和やかな場面において、元ブラジル外相アロイジオ・ヌネス氏に手渡したものだ。パダルコ氏は「我々からBRICSのお金を少しばかり贈りたい。これは貴殿の機関への我々からの貢献である」と述べ、同紙幣を贈呈したとされる。

 さらにパダルコ氏は、ロシア・キルジャチ市に所在する印刷所が、BRICS首脳会議のためにこのような象徴的紙幣を制作していると説明している。

 取材に応じたヌネス氏は、この出来事について「彼は冗談めかして、それを私に贈り物として渡してきた。即興で演出された、あたかもBRICS通貨であるかのような空想的なものであった」と明かしている。


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