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「国より私利を優先するのか」=ボルソナロ家に産業界大反発

2025年7月17日

ジャイール・ボルソナロ前大統領とエドゥアルド・ボルソナロ下議(instagram @bolsonarosp)
ジャイール・ボルソナロ前大統領とエドゥアルド・ボルソナロ下議(instagram @bolsonarosp)

 ジャイール・ボルソナロ前大統領(自由党・PL)とその一族に対し、かつて強固な支持基盤だった国内産業界が反発を強めている。ボルソナロ家の政治的行動が経済界の信頼を大きく揺るがし、影響力の強い中道政党連合「セントロン」にも動揺が広がっている。同家に対し経済界の主要勢力が一斉に距離を置く姿勢を鮮明にしたことで、政界にどのような波紋が広がるのか注目されていると15日付G1(1)が報じた。

 ボルソナロ前大統領と、その三男で現在職務を休職中のエドゥアルド・ボルソナロ下議(PL)の最近の強硬かつ挑発的な言動は、国内企業界の怒りを決定的に買った。これまでボルソナロ氏を支えてきた複数の大手企業家が、セントロンの指導者らに対して「もはやボルソナロとの関係を断つべきだ」とのメッセージを送ったという。

 ある有力企業家は「元大統領とその息子らは、自らの個人的利益のためにブラジルを〝売り渡して〟いる。国家元首としての責任を完全に放棄している」と強く批判。その上で「息子の軽率な行動に対して、父親である元大統領が制止することを期待していたが、実際には国の将来よりも自らの政治的生存を優先している」と述べ、失望感をにじませた。

 サンパウロ州の別の企業家は「我々は今、自国製品が重要市場から排除されるという重大なリスクに直面している。それも、全ては個人的な対立の延長線上で起きている事態だ。すでに国内で何が起きたかは誰もが知っている。彼らは政治的な賭けに出た以上、その結果に責任を負うべきだ」と批判した。

 一方、トランプ米大統領によるブラジル製品への50%関税措置に関し、タルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和者・RP)が態度を修正し、対話を通じて関税撤回を試みていることに対し、企業界からの支持が高まっている。

 これに対しエドゥアルド氏は同知事を、「エリートへの盲目的な服従」と非難し、両者の対立に発展。企業家らは、同知事がエドゥアルド氏の「過激で無責任な」姿勢から明確に距離を置き始めたことを評価し、さらに「国家の利益を第一に考える政治家とは、個人や特定の政治グループの都合ではなく、国全体の将来を見据えて行動する人物だ」との見解を示している。

 ボルソナロ前大統領は、2022年選挙後に発生した「民主主義の破壊を企てた」とされるクーデター未遂の共謀罪で最高裁により起訴されており、容疑は武装集団の組織、国家財産への暴力的損害など多岐にわたる。最高裁が有罪と判断すれば20~40年以上の刑期が科される可能性がある。

 ボルソナロ氏は起訴以降、「政治的迫害」「魔女狩りだ」と反発しており、トランプ米大統領も支持を表明している。だが、司法の動きと世論の注目が高まる中、支持基盤からの離反と併せ、ボルソナロ氏を取り巻く政治的環境は大きな転換点を迎えている。


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