site.title

「もう限界」14歳少女が自宅放火=育児負わされ11カ月妹が犠牲に

2025年7月18日

火災現場(16日付G1サイトの記事の一部)
火災現場(16日付G1サイトの記事の一部)

 「弟妹の世話に疲れた」――サンパウロ州沿岸部グアルジャ市で14日、14歳の少女が自宅に放火し、11カ月の妹を死亡させ、2歳の弟に重傷を負わせる事件が発生した。犯行後、少女は友人宅で自らの犯行を打ち明け、警察の取り調べに対して驚くほど冷静な態度で「もう限界だった」と語った。少女は犯行前に母親から暴力を受けていたとされ、家庭内でのトラブルが事件の背景にあったとみられていると16日付G1など(1)(2)(3)が報じた。

 事件は午後2時10分頃、集合住宅で発生した。警察が到着した際には、火は近隣住民によって既に鎮火されていた。11カ月の乳児が死亡し、2歳の男児は気道の損傷と顔面熱傷を負い、小児集中治療室に入院中だが、状態は安定している。

 事件後、加害者少女は父親に付き添われ、警察に出頭。少女の供述によると、当日朝、母親はパンを買いに外出し、帰宅後に少女と口論になった。母親は「家族の生活が困難なのはお前のせいだ」と責め立て、少女の肩や背中を平手打ちしたほか、椅子を投げつけると脅したが、最終的には思いとどまり仕事へと出かけたという。

 少女は自身の置かれた状況に強い不満を抱いていた。弟妹を寝かしつけた後、紙を丸めて弟の寝室のカーペットに火をつけると、弟たちの部屋に鍵をかけた上で、台所のガスコンロのバルブを開けてから、アパートの玄関も施錠して現場を離れたという。煙が外に漏れないよう窓を全て閉め、近隣住民に火災の発生を気づかれないようにしたことや、ガスボンベの爆発までの時間をインターネットで調べるなど、計画的に犯行を遂行していたことも自供した。

 現場を離れる際、少女は弟妹の小さな靴を2足手に取り、その足で近所に住む友人のもとを訪ねた。彼女は友人に靴を見せながら、それが〝命のはじまり〟を象徴するものだと語り、極めて冷静な口調で「これが私の弟妹の最後の思い出よ。彼らはもう死んでしまったから」とためらうことなく伝えたという。

 少女には5歳の妹もいたが、当時は近所の公園で遊んでおり無事だった。少女はこの妹について「手がかからないから命を奪う必要がなかった」と述べている。

 事件を担当するグラウクス・ヴィニシウス・シルヴァ警部は、この件を「恐怖を覚える陰惨な事件」と表現。「少女は非常に冷静で、私の目をじっと見つめながら淡々と話し、『弟妹の面倒を見るのに疲れた。自由になりたかった』と明かした」と説明した。

 警察は少女を殺人及び殺人未遂の容疑で勾留し、少年裁判所に送致した。釈放される可能性は極めて低いと見ている。地元公安局は本件を重く受け止め、精神保健プログラムの拡充や家族支援の強化に努めている。

 グアルジャ市は声明で事件を遺憾とし、被害者の家族に哀悼の意を示すとともに、保健局や福祉局が状況を注視し、必要に応じて支援を行う体制を整えていると発表した。市はこのような事件が、家族や子どもたちへの精神保健支援拡充の重要性を改めて示すものと位置付けている。


トランプがPIXに通商圧力=米企業保護とドル覇権懸念で前の記事 トランプがPIXに通商圧力=米企業保護とドル覇権懸念で
Loading...