IOF増税=モラエス判事が仲裁的判断=議会と政府の主張を含める=預託リスク部分のみ却下に

最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事は16日、金融取引税(IOF)に関し、ルーラ大統領が出した大統領令による増税の合法性を認める司法判断を出したと同日付フォーリャ紙(1)が報じた。モラエス判事の判断は、行政府の裁量を一定程度認めつつも、恒常的な税制変更には議会の関与が不可欠であるとの立場を示したもので、立法府と行政府の権限の均衡を図る内容となっていると報じられている。
今回の司法判断は、IOF増税を定めた大統領令を無効とする法案が、6月25日の連邦議会で承認されたことを不服とした連邦政府が連邦総弁護庁(AGU)を介して行った訴訟に関するもので、モラエス判事が調停作業を行っていた。だが、政府側はIOFの引き上げは財政均衡法を守り、国を治めていくために不可欠で、撤回の意志はないと主張。調停は物別れに終わった。
今回のモラエス判事の決定は連邦政府側の要求を大筋で認めた形となった。同判事は、年金プランへのより高額な拠出や証券などに適用されるIOFの税率の変更は、最高裁がこれまでに承認した他の大統領令と変わらないとの判断を行っている。
だが、供給者が金融機関から前払い金を受け取り、買い手が長期にわたって債務を返済する、いわゆる「預託リスク」に対しては適用されないことになった。
この結果は、三権でこのところ行ってきた交渉を反映したものだ。そこで浮上した合意は、預託リスクに対する課税のみを違憲とするものだった。これは連邦議会と連邦政府の会議が物別れに終わった翌日、モラエス判事が示した司法判断で裏付けられた。同判事は、政府が預託リスクを信用取引と同一視したことで、権限を逸脱したとの判断を行った。
財務省は、リスクを伴う預託取引への課税により、2025年に4億5千万レアル、2026年に35億レアルの収入を見込んでいた。
主張の全ては認められなかったものの、労働者党(PT)の関係者は、議会が承認した法案によって覆された大統領令での税率変更を最高裁が認めたことが重要だとの見解を示している。
フェルナンド・ハダジ財相はモラエス判事の判断に対し、「大統領令は憲法に準拠していると確信していた」とし、 「我々はモラエス判事の決定を全く正当なものと理解している。裁判所の役割は様々な議論を吟味することだ」と語っている。
一方、連邦議会では今回のモラエス判事の司法判断に対し、「勝利したのは連邦政府だ」として不満の声が漏れている。とりわけ、野党議員らは既に議会に対して公式声明提出を求めており、「議会が何もせずにいるわけにはいかない」と主張している。下院野党リーダーのズッコ下議(自由党・PL)はモラエス判事による司法判断を「独裁的」「違憲「恥知らず」と批判している。ウゴ・モッタ下院議長、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長の見解は出されていない。(2)
なお、モラエス判事は、司法判断で合法と見なした大統領令の内容に関しては、大統領令が発行された2025年6月11日から有効との判断も出している。
今回の判断は個人による司法判断のため、モラエス判事は早急に大法廷での全体審理にかけることを求めている。ルイス・ロベルト・バローゾ長官は休廷の明ける7月31日以降に審理を行う意向を示している。