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《ブラジル》ICMS=項目限定で課税率ゼロ化?=大統領が全面支援策提案=再選への巻き直しを図り

2022年6月8日

上下両院議長らも参加して行われた6日の記者会見(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)
上下両院議長らも参加して行われた6日の記者会見(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 【既報関連】ガソリンやディーゼル油、電気代などの高騰抑制のための商品流通サービス税(ICMS)上限設置法案の上院での審議開始前の6日、ボルソナロ大統領がICMSをゼロにすれば国が補填すると提案を示したと6、7日付現地紙、サイトが報じた。
 州税のICMSに上限を設ける案は、税収が5%以上減少した時は国への負債返済時に相殺する事で補填するという条件付で下院を通過した。だが、上院では同項目削除の可能性が高まり、先行きが見えなくなっていた。
 そこで、前記法案承認後、年内はガソリンとエタノールにかかる連邦税を免除した上、ディーゼル油と台所用ガス(LPG)にかかるICMSもゼロ化して、その分を国が補填すると提案した。発表は上下両院議長や経済相、鉱山動力相、官房長官を伴った記者会見で行われた。
 大統領やその周辺は大統領選の支持率調査の結果に敏感になっており、ルーラ元大統領が一次投票で当選する可能性ありというダッタフォーリャ調査の結果発表直後、中道勢力のセントロンは大統領に「早急にインパクトのある策を打ち出さなければ再選は不可能」と言い渡した。 
 ボルソナロ氏の支持率の伸び悩みは高インフレが主要因との声は前からあり、大統領周辺からは「ゲデス経済相が要求通りの策を拒んでルーラ氏の片棒をかついでいる」との声まで出ていた。 
 そこで、支持率回復と再選への足固めのために打ち出されたのがICMSゼロ化案だ。財政破綻を避けるべき立場のゲデス氏は、大統領周辺が望んでいた電気代やガソリンのICMSゼロ化を拒んだ。だが、中道勢力はそれでも、経済相を説き伏せる事に成功したと見ている。
 6日の提案による州や市への補填額は250~500億レアルの見込みだ。同提案では、エタノールやガソリンのICMS減税分や、現行税率と17%との差で生じる税収減分の補填はなくなる。
 この提案の具現化には、ICMSへの上限設置法案の速やかな承認が必要だ。大統領周辺では、直前に招かれたにも関わらず、ロドリゴ・パシェッコ上院議長が提案提出前の対策会議や記者会見に同席した事は、上院での法案審議が迅速に進む証拠と見ている。


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