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《ブラジル》下院でもカミカゼ法案を正式承認=国民への支払いは8月開始=大統領の追い上げなるか?

2022年7月15日

13日の下院(Camara dos Deputados)
13日の下院(Camara dos Deputados)

 12、13日に下院で複数の緊急支給をまとめた憲法改正法案「PECカミカゼ」が審議され、賛成多数で可決された。選挙まで3カ月を切った段階で承認され、歳出上限法や選挙法をすり抜けるための仕掛けまで備えた412億レアルに及ぶ緊急支出は8月上旬から始まることになる。13、14日付現地紙が報じている。
 下院での初回投票は12日に行われ、393対14の大差で可決された。2回目の投票も同日中に行われる予定だったが、インターネット接続に問題が生じ、見送られた。
 13日に行われた2回目の投票は携帯電話アプリを使ったリモート方式で行われ、469対17票の大差で可決。連邦政府側が諸々の支払いを早期に行いたがったため、6月30日に上院が承認した法案には一切手を加えず、修正動議も否決しての承認だ。同PECは14日午後、正式に発効となった。連邦政府は8月9日から支払いを始める意向だ。
 このPEC発効で、「アウシリオ・ブラジルの支給額を毎月400レアルから600レアル」「トラック運転手に対する燃料高騰対策のための1千レアルの優遇チケット配布」「家庭用ガスボンベ(ボチジョン)の手当を112・60レアルに増額」「高齢者の公共交通料金の無料化補償増額」「タクシー運転手への手当」「家族農支援プログラムのアリメンタ・ブラジルへの5億レアルの予算増額」「ガソリンとの競争力を高めるためのエタノール促進政策に38億レアルの予算増額」などが年末まで行われることになる。
 このPECは、「特定層を優遇し、選挙法に抵触する」「急な支出で連邦政府の歳出計画を狂わせる上、急な高額支出によりインフレを招く」などの批判が相次いでいた。連邦会計検査院(TCU)と連邦検察庁は、歳出上限法や選挙法をすり抜けるための非常事態宣言まで認める同法案を「職権乱用」と判断し、捜査することを示唆している。
 だが、この法案に当初懸念を示していたパウロ・ゲデス経済相は「2022年の財政には影響がない」との見解を示し始めている。また、一部の下議らが起こした「カミカゼ法案は違憲ではないか」との最高裁への訴えもアンドレ・メンドンサ判事が却下している。
 また、野党の最大勢力であり、大統領選でボルソナロ大統領との対決が確実視されているルーラ元大統領の労働者党(PT)も、「国民が恩恵を受ける」ことを理由に反対せず、同法案の賛成に回ったのも承認が容易になった要因だ。
 これにより、ボルソナロ大統領の支持率がどこまで上がるかが注目されている。大統領は貧困者の多い北東部での支持率が低く、世論調査でも30%ポイント以上の差をルーラ氏につけられている。北東部での劣勢は、PT政権の福祉政策「ボウサ・ファミリア」の支給額を3倍以上にした「アウシリオ・ブラジル」をはじめても変化がない。サイト「インターセプト」は「ボルソナロ氏は再選のために、これまでの貧困者への嫌悪を飲み込んだ」と評している。


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