《ブラジル》期限切れ間近の品の売上増=高インフレと所得減少で

市場や経済省のインフレ予測はやや低下し始めたが、高進するインフレと所得減少で困窮する市民の自衛策として、賞味期限切れ直前の品を購入・利用するケースが増えていると13日付G1サイトなどが報じた。
サンパウロ州内陸部カンピーナス市では、賞味期限切れ間近の商品は最大で60%という割引価格で購入できるという。
ルイーザ・ランゴニさんはこのような商品の利用者の一人で、米やフェイジョン豆、大豆油とかは毎日の食卓に欠かせないのに値段が高騰しているから、家族の腹を満たすために賞味期限切れ間際の食品を利用するようになったという。
カンピーナス市カトリック総合大学(PUC)で経済学を教えるロベルト・ブリット・デ・カルバーリョ教授は、「6割引の品もあり、一考の価値がある。賞味期限が近いから買い置きはできないが、家計が逼迫している家庭なら十分に意味のある買い物」との考えを明らかにする。
同市では約150の店が参加し、賞味期限切れが近いために値引きされている品を紹介するプラットホームがあり、食品ロスが減るし販売も増えるという副産物が生じている。
洋菓子店のジュリアナ・カリポはこのプラットホームに参加している店の一つで、店頭なら平均45レアルの品が、このプラットホームなら平均15レアルで買えるという。店主のジュリアナ氏は、食材や包装も無駄にならず、消費者、生産・販売者の双方にプラスになっていると肯定的に評価している。
サンパウロ州の農業経済研究所によると、昨年7月と現在の価格を比べると、朝食にかかる経費は70・69レアルが88・96レアルに25・8%増、昼食は91・81レアルが106・14レアルに15・6%増、夕食は95・36レアルが109・91レアルに15・2%値上がりしているという。
新型コロナのパンデミック以降、食の安全が脅かされている人は増えており、ゴミ収集車に頭を突っ込み、食べられる物を探す人の姿や、賞味期限切れの品や骨や皮などの廃棄物を拾っていく人も各地で見られる。
12日付テラ・サイトは、賞味期限切れとなったためにスーパーが商品棚から外し、処分する予定だった食品を盗んだ男性2人が、警察官に見つかって窃盗罪で逮捕されたが、飢餓に直面していた事や、処分する予定の食品だった事などから免罪となった例を報じている。
ブラジルでは、子供に食べさせる物がなくて万引きした女性が免罪となった例もあるが、賞味期限切れで捨てられるはずの品を盗んで捕まる人が出るという事実は、食の安全が脅かされている人がそれだけ増えている証拠でもある。