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《ブラジル》検察庁が大統領への捜査差し止め要請=コロナ禍CPI罪状の大半否定=大統領親派の副長官が判断

2022年7月27日

リンドーラ検察庁副長官(Twitter)
リンドーラ検察庁副長官(Twitter)

 25日、連邦検察庁は2021年4〜10月に開かれた上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)に関し、ボルソナロ大統領(自由党・PP)ならびに大統領に近い閣僚や政治家たちに関する捜査差し止めを最高裁に求めた。これに対しCPIメンバーは強い反発を示している。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
 捜査差し止めを求めたのはリンドーラ・アラウージョ検察庁副長官で、CPIが検察庁に提出した10件の捜査願い中7件の差し止めを請求した。
 その内5件はボルソナロ大統領が絡むものだった。ボルソナロ氏は「新型コロナの予防的衛生対策無視」「公的資金の不適切な使用」「医学的根拠のない説の宣伝行為」「不正黙認」などで捜査対象にあがっていた。
 大統領は日頃からマスク着用などのコロナ対策を無視しており、新型コロナウイルスに対する効用が医学的に証明されていないクロロキンを治療薬として推進するため、同じ考え方を持つ医師らと共に保健省外部に「影の委員会」を設けていた疑惑を持たれている。また、それに固執するあまり、ワクチン接種のタイミングを数カ月間遅らせ、数万人単位の死者を出す遠因となったとCPIに結論づけられていた。
 リンドーラ副長官は大統領に関し、「マスク不着用などはルール違反の罰則対象にはなるが犯罪行為とまではいえない」「(クロロキンに関しては)コロナの治療対策のためであり、犯罪を念頭においたものではない」として捜査取り下げを求めた理由を説明した。
 同副長官は、ボルソナロ氏の副候補のヴァルテル・ブラガ・ネット官房長官(当時)、マルセロ・ケイロガ保健相、ヴァギネル・ロザリオ国庫庁長官、エドゥアルド・パズエロ前保健相、下院政府リーダーのリカルド・バロス下議(進歩党・PP)にも「犯罪性がない」とし、捜査差し止めを請求した。
 同CPIは2020年1月に医療崩壊を起こしたアマゾナス州マナウスの医療崩壊後、パズエロ前保健相の責任追及が発端となって開設された。前保健相は軍出身で医療経験がなかったが、ボルソナロ氏と懇意だった。
 バロス氏はインドのコロナワクチン「コバクシン」の不正契約疑惑への関与が疑われていた。リンドーラ氏は同件に関する捜査継続との判断を行ったが、バロス氏は対象から外した。ボルソナロ氏はバロス氏の不正関与を知っていて黙認した疑惑を持たれていた。
 この結果に、オマール・アジス上議(社会民主党・PSD、CPI委員長)は「亡くなられた方達に失礼」と嘆き、ランドルフ・ロドリゲス上議(レデ、副委員長)は最高裁に訴える意向を表明。レナン・カリェイロス上議(民主運動・MDB、報告官)は「驚くことはない。検察が大統領を選挙前に守ったのだ」と皮肉った。
 リンドーラ副長官は検察庁きってのボルソナロ派で、最高裁判事更迭などを訴えた大統領派のダニエル・シルヴェイラ下議の被選挙権剥奪の取り消しを最高裁に請求するなどの行為も行っている。


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