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《ブラジル》84%の市にポリオ復活の可能性=1~5歳児の接種率35%

2022年9月10日

ポリオの予防接種を受ける子供(Arquivo/Tomaz Silva/Agencia Brasil)
ポリオの予防接種を受ける子供(Arquivo/Tomaz Silva/Agencia Brasil)

 保健省が5日、ポリオ(急性灰白髄炎または脊椎性小児麻痺)の予防接種キャンペーンを30日まで延長すると発表し、州や市の保健局に通達を出したと5~8日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 保健省の決定は、1~5歳児の予防接種率が6日現在も35%にとどまっている事を受けたものだ。保健省は同年齢層の子供への予防接種率を95%以上とする事を目標とし、全国で予防接種キャンペーンを行っていた。
 ブラジルでのポリオの予防接種キャンペーンは2018年と2020年にも行われたが、接種率が期待したほど伸びず、専門家が懸念を抱いていた。だが、今年のキャンペーンはこれまで以上に達成率が低く、このままではポリオの再流行を招きかねないと警鐘を鳴らしている。
 ポリオは腸内に生息するポリオウイルスによって起こる急性伝染病で、感染した人の糞便や口からの唾液などに接して感染すると麻痺を引き起こす。麻痺は下半身に出る事が多いが、呼吸器系の筋肉に麻痺が出ると死に至る事もある。ブラジルでは予防接種進展で1989年以降、患者が途絶え、1994年には撲滅証明も出た。
 だが、現在のように接種率が低下した状態に上下水道の不備、居住条件悪化、個人の衛生状態悪化などが重なると、ポリオが復活する可能性がある。汎米保健機関(OPAS)によると、ブラジルは米州・カリブ諸国の中ではハイチに次いで2番目にポリオ復活の可能性が高いという。
 全国予防接種計画の感染症予防部門のカロリーネ・ガヴァ氏によると、ブラジルでは2019年以降、複数の州でポリオが復活。それ以外の自治体もポリオ復活の可能性が高く、58・9%が復活の可能性が非常に高いと判断され、復活の可能性が高いも25・6%に及ぶ。リスクが中程度の自治体は13・5%で、安全とみなされている自治体は1・8%のみだった。
 ポリオによる麻痺は回復せず、致死率も高いから、予防接種で未然に防ぐ事が必要だ。ブラジルでは子供が生まれると予防接種カレンダーを渡される。この接種カレンダーにはBCGその他、基本的な予防接種が含まれているから、本人と周囲の人の双方を守る意味で接種を受けさせる事が勧められている。


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