《ブラジル》大統領陣営でガルシア州議が四面楚歌=大統領三男まで批判投稿=女性ジャーナリスト攻撃で

【既報関連】ボルソナロ大統領派のドウグラス・ガルシア・サンパウロ州議(共和者・RP)が女性ジャーナリストのヴェラ・マガリャンエス氏に行った攻撃は、ボルソナロ大統領(自由党・PL)や大統領推薦のサンパウロ州知事候補タルシジオ・デ・フレイタス氏(RP)にダメージを与えることが懸念され、陣営が同件での火消しに必死になっている。15日付現地紙などが報じている。
この件はガルシア氏が13日にクルトゥラ局で行われたサンパウロ州知事選候補らによるテレビ討論会終了後、ジャーナリスト席にいたヴェラ氏に詰め寄り、携帯電話で録画を行う威嚇行為と共に、彼女に関する虚偽の情報をまくしたてたものだ。この行為はたちまち全国的に問題となり、サンパウロ州議会倫理委員会には14日だけで8件のガルシア氏罷免請求が届いている。
ガルシア氏は以前からきわめて熱心なボルソナロ氏の支持者として知られており、今回の行為もボルソナロ氏の前例に従ったつもりで起こしたものだと報じられている。ボルソナロ氏は8月28日、バンデイランテス局で行われた大統領候補らによる公開討論会で、「ジャーナリストの恥」との言葉でヴェラ氏を罵倒。ガルシア氏はそこでの争いを継続させようとしたのであり、ネット上ではボルソナロ氏の支持者らがガルシア氏を擁護する声もあげていた。
だが14日、大統領三男のエドゥアルド下議がツイッター上でガルシア氏に対し、「政治家としての立場にある者が、特に根拠がないのにジャーナリストに対してあのような攻撃を行うことはあってはならない」と強く批判した。この批判は、同様にジャーナリストへの攻撃で問題を起こし、女性蔑視的な発言も目立っていたエドゥアルド氏によるものであっただけに驚きを持って迎えられた。
同下議はその投稿でさらに、「タルシジオ氏はこの夜、討論会ですばらしい話しぶりで高い評価を得ていた。それなのに、ガルシア氏が台無しにした。彼は一体、何がしたかったのか」と憤った発言を続けている。
これ以外にも、タルシジオ氏の陣営はガルシア氏の件で火消し対応に追われた。タルシジオ氏のキャンペーンのコーディネイト役のセジニャ・デ・マドゥレイラ下議(社会民主党・PSD)は、「あくまでも個人の行為であり、我々には関係ない」と発言。熱心なボルソナロ派で普段は過激な言動でも知られるカルラ・ザンベッリ下議(PL)も、「今回の件でタルシジオ氏の評価が損なわれることがないと信じている。多くの人がタルシジオ氏が紳士であることを知っている」とした。タルシジオ氏自身も、「罰せられるべきだ」とガルシア氏に不快感を示している。
ボルソナロ氏の陣営も、ヴェラ氏に対する言動で、これまでも低かった女性の支持がさらに悪化することを懸念し、女性有権者へのイメージアップを行おうとしていた矢先だった。
選挙高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス長官も今回の件を問題視し、サンパウロ州の選挙検察に対し、ガルシア氏に対する捜査を行うよう求めている。
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女性ジャーナリストのヴェラ・マガリャンエス氏に対するダグラス・ガルシア・サンパウロ州議の威嚇攻撃が、14日以降の話題を独占している。これに対し、中道勢力「セントロン」の長でもあるシロ・ノゲイラ官房長官がガルシア氏を擁護するつもりで、「ガルシア氏の携帯電話を奪った方がジャーナリスト攻撃の1千倍悪い」と発言。
だが、ボルソナロ大統領三男エドゥアルド氏をはじめ、普段は過激な言動で知られる大統領支持者らもこぞってガルシア氏を批判。そうした政治家の暴走の火消しをしていたはずのセントロンの長が、かばおうとして逆に浮いてしまうという皮肉な逆転が生まれた。