《ブラジル》Selic上げ止まり=インフレ率連続低下受け=高金利は長期化する見込み

中銀通貨政策委員会(Copom)が21日、経済基本金利(Selic)を年13・75%で据え置く事を決めたと21、22日付現地紙、サイトが報じた。
今回の据え置きは2021年3月以降、12回続いた金利引き上げサイクルに終止符を打つもので、金融関係者は胸をなでおろした。12回連続で計11・75%ポイントもの引き上げは、期間も幅も史上最大だ。
今回の据え置きは、昨年から続いていた2桁台の高インフレが7月以降デフレに転じ、9月も継続して低下すると見られている事などが原因だ。市場でも年末までは現在の水準維持と予想していた。
それでも、今回の据え置きは満場一致ではなく、年14%への引き上げを唱えた委員も9人中2人いた。この事は、現在のデフレ傾向が何らかの理由でインフレに切り替わる可能性がある事や、必要と判断すれば今後も引き上げがあり得る事などを示している。
経済基本金利引き上げはインフレ抑制への切り札だが、市場や消費者には決して歓迎されない措置の一つだ。Selicが高まると融資返済時の金利なども上がり、経済活動が減速する可能性もあるからだ。
そのため、金利引き上げが続いていた2002年の大統領選では、与党の社会民主党(PSDB)候補だったジョゼ・セーラ氏が、野党の労働者党(PT)の候補だったルーラ氏に敗れた。
他方、投資ファンドの中にはSelic引き上げで収益性が高まるものもあるし、インフレ抑制で購買力回復も望めるなど、マイナス面ばかりではない。
それでも、全国工業連合(CNI)のロブソン・アンドラーデ氏は最新の経済動向予測調査「フォーカス」による来年の経済成長予測は0・5%である事などに触れ、「金利引き上げが続けば下半期の経済は減速し、2023年の経済成長も落ち込む」として、金利据え置きを擁護した。
リオ州工業連盟は先行き不透明感への懸念を表明。経済活動の成長基調維持とインフレ抑制継続のための方策の必要を説いている。
市場では、インフレを政府目標上限(今年は5%、来年は4・75%)以下に納めるには来年6月まで現行金利継続が必要だが、来年末は11・25%になると見ている。
なお、Copomでは、2022年のインフレ率は5・8%、23年は4・6%、24年は2・8%と見ているという。