《ブラジル》「ルーラ当選なら工場閉鎖」経営者が従業員に選挙ハラスメント

2日に行われた統一選の一次投票で、特定の候補者に投票するように誰かに強制、脅迫したり、何らかの利益を約束したりする事は選挙ハラスメントにあたる犯罪行為である事を選挙検察が明らかにし、企業内の従業員に対する慣行増加を監視する意向を明らかにしたと10日付G1サイトなどが報じた。
4日にSNSで出回ったのは、パラー州サンミゲル・ド・グアマー市の製陶業者マウリシオ・ロペス・フェルナンデス・ジュニオル氏が工場の従業員を集め、「ルーラ氏が当選したら、うちの会社の工場を閉鎖する」と語るビデオだ。
マウリシオ氏はビデオの中で、「全員がルーラ氏支持者ではない事は知っているが、ルーラ氏が当選しないよう、力をあわせなければならない。なぜだかわかるか? ルーラ氏が当選したら、サンミゲルの製陶工場は半分以上閉鎖されるからだ。俺はその中の一人だ。ルーラ氏が当選したらうちの工場三つを閉鎖する」と語り、リストを作り、ボルソナロ氏に投票するという従業員に200レアルずつ払うと約束した。
また、バイア州ではロゼリ・ヴィトリア・マルテリ・ダゴスチニ・リンスというアグロビジネス関連の企業家が、農業生産者達に向かって、「ルーラ氏に投票した従業員は容赦なく首にする」ように求めただけでなく、ルーラ氏を擁護する生産者にも出ていくように求めた。
リオ・グランデ・ド・スル州でも、農業機械などを扱う会社が供給業者に対し、決選投票でルーラ氏が当選した場合は30%予算を削ると伝える文書を流したという。

この他にも、ルーラ氏に投票しなければ従業員を3割解雇すると発言した企業家の話や一次投票後に実際に解雇された従業員の話なども報じられており、労働検察や選挙検察が選挙ハラスメントにあたるとして捜査を行っている。また、パラー州のマウリシオ氏は既に、30万レアルの罰金を科せられている。
選挙検察によると、従業員を脅迫したり、特定候補に投票するよう強要したりする事はもちろん、会社の中で従業員相手に選挙宣伝を行う事も厳密に言えば、選挙法違反にあたる。
また、特定候補の写真や番号入りのシャツなどを社内で着用する事の可否は会社側が決める事ができるが、着用を強要する事はできない。会社の車やトラック、自転車、窓などに、一定の大きさ以下(0・5平米未満)のシールなどを貼って無料宣伝を行う事は、許容範囲内とされている。
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