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《サンパウロ市》先住民の言語や文化の展示=ポルトガル語博物館で4月まで

2022年10月15日

 サンパウロ市ポルトガル語博物館で12日から、国内に住む先住民が話す175余りの言語や文化に関する展示会が始まった。この展示会は来年の4月23日まで続くと12日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 「ニェ・エン・ポラン:記憶と変容」と題する展示の責任者で学芸員のダイアラ・トゥカノ氏は、先住民芸術家で活動家、教育者、コミュニケーターでもある。
 展示が行われている部屋の廊下を通り過ぎる人は、笛の一種のカリスを手にした先住民達が奏でる音と、笛の音に合わせて踊る姿に魅了される事だろう。
 展示会では、ブラジル国内で175を超える先住民言語が話されている事や、これらの言語が何十もの言語ファミリー(語族)に分けられる事なども説明されている。この展示会は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)がコーディネートしている国連の「国際先住民族言語の10年(2022~32)」のブラジルでの立ち上げの意味もある。
 ダイアラ氏は取材陣の前で展示会について語る際、マラカスの一種のマラカーを演奏しつつ、展示会の題にもなった「ニェ・エン・ニェ・エン・ニェ・エン・ポラン」という、グアラニ・ミビヤ語の曲を披露した。この曲名には「一人一人の心から生じ、一人一人の心に触れる良い言葉、良い考え、良い感情、甘い言葉」という意味があるという。
 また、世界中に住む5千超の先住民族の居住地は地球上の生物の多様性を80%以上保つ事に貢献しているとし、「先住民族やその言語について語る事は命や多様性、川や森、山や海にあるもの全てを大切にしてこの世界を歩む知恵について語る事に他ならない」と語った。
 また、現在の世界は気候変動で未曾有の危機に直面していると述べ、「これらの命の保護の最前線に立ってきたのは先住民族だ。ここでは、先住民族の言語だけでなく、各々の木や川での沐浴、澄んだ水を飲む事、歴史を尊重する事にも思いを馳せてもらいたい。各言語は知恵や生命についての哲学、無限の知識の結晶なのだから」と強調した。
 会場には先住民の歴史や文化、記憶、戦いや抵抗の軌跡などを示す音声資料や写真、ビデオ、道具、手工芸品なども揃っている。
 展示には起点や終点がなく、どこから見始め、どこで終わるかは自由だ。会場の一角の先住民の言語の森では各言語を音声で確認する事もできる。言語と記憶のスペースでは先住民の土地で起きた侵入と接触、暴行、抗争を扱っており、丸太で作った太鼓で、記念碑的なトロカンも置いてある。
 ブラジリア大学教授でアマゾナス州ソリモン川上流に住むコカマ族出身のアルタシ・コレア・ルビン氏は、ラ米やカリブ地区の先住民代表として先住民の言語展の準備も手伝った。
 同氏によると、国内にはもうコカマ語の話者はおらず、言語や文化を強化する努力を重ねているという。話者が絶えたのはパンデミックで70人以上の長老が亡くなったせいだ。
 コカマ族はペルーとコロンビアとの3カ国の国境をまたいで暮らしており、長老達を失った後はペルー領内の仲間と協力し、コカマ語の話者復活に向けた取り組みを進めているという。


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