サンパウロ州で新たなコロナ株確認=マスク着用義務化や推奨増加

【既報関連】新型コロナの感染状況が悪化する中、サンパウロ市ブタンタン研究所が17日、オミクロン株から派生した下部変異株2種を確認したと発表したと17日付エスタード紙電子版、同アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
サンパウロ州ではオミクロン株の下部変異株のBQ1による死者が出ている。今回確認された変異株はXBB1とCK2.1.1の2種類だ。これらの下部変異株は、10月16日~11月5日にサンパウロ市とリベイロン・プレット市で行った検査のサンプルから見つかった。
ブタンタン研究所によると、XBB1は世界35カ国で確認されており、世界保健機関によると、他のオミクロン株の下部変異株に比べて、感染や予防接種で得た免疫をすり抜けやすく、再感染を引き起こす可能性が高いと見られている。
一方、CK2.1.1はドイツと米国、デンマーク、スペイン、オーストリアでしか確認されていない。
ブタンタン研究所では、これらの変異株に関する情報は少なく、感染力の強さや重症化のしやさなどは不明だとしている。ウイルスの変異は複数の株が同一地域でまん延している場合に起こりやすい。国内外での移動が増える時期は特に、注意が必要だ。
新下部変異株の感染者確認が続く中、17日には全国の新規感染者が3万2970人増えた。特に感染者増が顕著なのはリオ州で、16日が8804人、17日が1万1689人と突出している。サンパウロ州でも17日は、感染者が1週間で22%増え、入院者は35・5%増えたと報じられた。
17日は全国の新規感染者の7日間平均も9月6日以来となる1万人超え(1万1638人)となった。オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が18日に発表した重症急性呼吸器症候群に関する報告書でも、ここ4週間の風邪症状の患者の47%が新型コロナ感染者だったとしている。
ただし、重症患者の増加は緩やかで、17日現在の死者の7日間平均は33人で安定した状態を保っている。
各自治体は予防接種の進展を図りながら、閉鎖空間や公共交通機関でのマスク着用の再義務化、または推奨を行っている。ミナス州ベロ・オリゾンテ市はタクシーなどを含む交通機関内や医療機関内でのマスク着用を義務化。サンパウロ市内の私立校でも校内でのマスク着用を推奨し始めた。
また、サンパウロ大都市圏では、病院内での感染拡大を防ぐため、当面は入院者の訪問(見舞い)を禁止するという措置をとる自治体も出ている。