ハダジに拘る次期財務相人事=アルーダ抱き合わせで懐柔=本人意欲も財界は困惑

ルーラ次期政権の財務相に、ルーラ氏の後継者と目されるフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)の就任が有力視されている。だが、同氏の就任は財界の思惑とは異なるため、次期政権の懸念材料ともなっている。24,25日付現地紙、サイトが報じている。
ルーラ氏は民主主義を順守する点において財界から好まれたが、同氏の掲げる経済モデルは疑問視されてきた。とりわけ、2016年のテメル政権で決まった「歳出上限法」に関してルーラ氏は乗り気でなく、それが強い懸念材料となり、株価の暴落やドル高の原因になっていた。
財界は、元来保守派のジェラルド・アルキミン次期副大統領とつながりがあり、財界でも知られた人物を財務相にと望んでいる。だが、大統領選中はおろか、大統領当選から3週間以上が過ぎても財務相の名前が見えてこないことから、財界からは不安を訴える声が上がっている。
次期政権側からは財界が望む名前が出てこない上に、PT側からハダジ氏を推す声が強まり、財界を困惑させている。
ハダジ氏は2018年大統領選にルーラ氏の代理として出馬し、次点になった。サンパウロ市市長(2013〜16年)も務めた。法学を専攻後、経済学で修士号、哲学で博士号を取得したが、ルーラ〜ジウマ政権(2005〜12年)で教育相を務めたため、専門は教育部門との印象が強く、財務相としての資質が疑問視されている。
だが、ハダジ氏自身は財務相就任にかなり乗り気で、ルーラ氏側近のブログでも、「これまでやったことのない分野にあえて挑戦したい」と語り、意欲を見せている。
ハダジ氏周辺によると、同氏は開発相が予想されているペルシオ・アルーダ氏との二人三脚でルーラ政権の経済部門を担いたいと考えているという。アルーダ氏は1994年のレアル・プラン立ち上げメンバーで、社会経済開発銀行(BNDES)元総裁としても知られている。ハダジ氏は2018年の大統領選の際、アルーダ氏を財務相として迎えたいとの意向を示しており、以来、良好な関係を築いてきたという。
また、連邦議会から財務相の指名を早く行うよう圧力がかけられていることも、ハダジ氏指名を後押ししている要因になっている。現在、議会では憲法補則法案「政権移行PEC」の審議のための準備中だが、PTの調整役のジャッケス・ヴァギネル上議が24日、「財務相の名前が決まらないから、PECの審議が先に進まない」と発言し、就任を急かした。
ルーラ氏は当選後、財務相には経済の専門家ではなく、政治家を据える意向を表明していた。ハダジ氏は25日、ルーラ氏の代理としてブラジル銀行連盟(Febraban)の会議に参加し、自身をアピールしている。財務相就任は、財界との会合で説得力を見せられるかや、財界に受け入れてもらえるかにかかっている。