最高裁秘密予算審理、違憲判断が優勢=19日に残り2判事が決断=連邦議会は代替え案を準備

14~15日、予算案審議時の報告官の裁量で支払われる議員割当金(通称、秘密予算)の合憲性を問う最高裁の全体審理が行われた。秘密予算は以前から評判が良くなかったが、今回の審理でも不利な展開となり、判事投票5対4で違憲判断が優勢となったところで審理が中断した。下院は同予算の代替案を準備している。14~16日付現地紙、サイトが報じている。
秘密予算の審理の報告官は、2021年に秘密予算の差しとめ判断を行ったこともあるローザ・ウェベル長官だ。同長官は14日、秘密予算は「誰が誰に支払うのかや払い出し基準が不明確」とし、以前から問題視していた不透明性を改めて指摘。「憲法の理念に合致しているとは言えない」として、違憲に票を投じた。
2019年に導入された秘密予算は使途が不明で、連邦政府が通したい法案がある時に集中的かつ与党側議員に偏って支払われることで、「合法賄賂」などと批判されている。
ルーラ次期大統領も大統領選のキャンペーン中に廃止を求めたが、下院で強い影響力を持つアルトゥール・リラ下院議長をはじめとする中道勢力セントロンが強く反発。彼らは最高裁判事たちにも合憲と主張してきた。
こうした状況から15日の審理でも票が割れ、ボルソナロ大統領が指名したカシオ・マルケス、アンドレ・メンドンサ両判事をはじめ、ジアス・トフォリ判事、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事の計4人は、「合憲」との判断を下した。
だが、エジソン・ファキン、ルイス・フクス、カルメン・ルシア、ルイス・ロベルト・バローゾの4判事はローザ長官の主張する「違憲」に賛成。5対4で優勢となった。
ジウマール・メンデス、リカルド・レヴァンドウスキーの両判事が「判断に時間がほしい」と申し出たため、15日の審理は打ち切られ、結審は19日に持ち越された。審理の行方は判断し難いが、「少なくとも使途は明確にされる必要がある」との見解は、秘密予算は合憲としたカシオ判事やモラエス判事からも出されている。
連邦議会では、秘密予算の基準の明確化を試みると共に、秘密予算が最高裁で「違憲」と判断されたときに備え、別のプランを用意している。
2022年の秘密予算は165億レアルだが、77億レアルは凍結されており、年内に解除されなければ使えなくなる。来年度予算にも194億レアルが計上されているが、議会では支払いは来年でも良いから年内の凍結解除をと願っている。
最も有力な凍結解除策は、上院で承認後、下院の承認待ちの「政権移行PEC(憲法補則法案)」の一部に組み込むことだ。リラ議長は移行PECの審議を最高裁での結審後の20日に組んでいる。
また、秘密予算が違憲とされた時や移行PECが否決された時、秘密予算をPECに盛り込むための条項が削除された時などに備えて、連邦議会は今年度分の義務的支出を来年に繰り越し、今年度予算にゆとりを持たせる案を両院合同予算委員会で承認。社会保障費支払いのために15日に出た、歳出上限枠外で75億レアルの追加資金確保を認める暫定令を利用することなども考えているという。