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メンデス判事「BFは歳出上限枠外」=政権移行PECに追い風=下院での審議の直前に

2022年12月20日

メンデス判事(Felipe Sampaio/STF)
メンデス判事(Felipe Sampaio/STF)

 最高裁のジウマール・メンデス判事は18日、福祉政策「ボルサ・ファミリア」にあてる政府の費用を、歳出上限法の枠外とする司法判断を下した。これでルーラ次期政権は、連邦議会で審議中の「政権移行憲法補則法案(PEC)」承認に向けて大きな追い風を受けることとなった。18、19日付現地紙、サイトが報じている。
 メンデス判事は18日夜、「アウシリオ・ブラジルまたはそれに代わる社会福祉政策を2023年も継続するための追加支出は特別クレジットを開設して対応する必要が生じる可能性があるが、その場合の経費は歳出上限枠には含めないこととする」との判断を下した。同判事によると、これは「憲法で定めるところの基本的な権利を保証するための支出であり、保証されるべきもの」として、最低限の生活費を得られない人たちに必要な支出だから合憲的だとする判断も行っている。
 メンデス判事の判断は、ルーラ次期政権の連立政党であるレデから出された訴状に応えたものだった。
 ボルソナロ政権は選挙対策で、ルーラ氏、ジウマ氏の労働者党(PT)の社会福祉政策「ボルサ・ファミリア」を「アウシリオ・ブラジル」と改名し、毎月の支給額も110レアルから400レアルに増額。選挙目前には600レアルまで引き上げた。ボルソナロ氏は23年も支給額維持を公約していたが、同政権が提出した予算案では月額405レアルの資金しか計上されておらず、13年ぶりに大統領に返り咲くことになったルーラ氏が600レアルの支給を維持するには歳出上限枠以外の予算を必要としている。
 ルーラ次期政権はそのために「政権移行PEC」を連邦議会に提案し、ボルサ・ファミリアに再改名する生活扶助の600レアル支出維持を求めた。だが、原案では最低賃金の実質増調整資金なども含めて、1750億レアルの歳出上限枠外支出を要求したために難色が示された。
 上院は生活扶助維持や6歳までの子供への児童手当支給などのための歳出上限枠外支出を1450億レアルに減額したりした上で、今月初旬に移行PECを承認した。
 だが、下院で308人の下議の賛同を得ることは困難と目されたため、ルーラ氏は17日に下院での報告官のエルマール・ナシメント下議(ウニオン)、18日にはアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)と会談を行い、20日に組まれている下院での審議に向けた対策を練っていた。特に、1450億レアルで上院を通過した支出上限枠外支出は1千億レアル、より厳しい場合には800億レアルにまで下げられる可能性まで報じられていた。
 だが、メンデス判事の判断でPECがかなり通し易くなったと、ルーラ氏側は判断している。閣僚入りが有力視されているパウロ・ピメンタ氏、マリア・ド・ロザリア氏(共にPT)、ランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)はいずれも「勝利だ」と喜んでいる。
 その一方で、フェルナンド・ハダジ次期財相(PT)はメンデス判事の判決後も、「議会との対話は続けていく」と語り、政権移行PECがルーラ次期政権にとってより理想的な形で承認されるよう努める意向であることを表明している。


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