22年はGDP2・9%成長か=中銀が経済活動指数発表=第4四半期の減速気がかり

中央銀行とジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)が、2022年の国内総生産(GDP)の先取り指数は、各々、2・9%だったと発表したと15、16日付現地サイトが報じた。
16日に中銀が発表した中銀経済活動指数(IBC-Br)は工業と商業、農業の3分野に税収を加えて算出され、国内の経済活動の現状を評価し、経済基本金利(Selic)を決める際の参考とされる。この指数は参照分野が限られるため、全分野が対象のGDPとは若干異なるが、GDPの先取り指数として用いられる。
それによると、22年の成長率は2・9%で、前年比で4・6%の成長を記録した2021年のGDPや4・68%を記録したIBC-Brを下回った。第3四半期までのIBC-Brは3・2%成長していたが、第4四半期は成長が減速。12月のIBC-Brは前月比で0・29%、前年同月比で1・42%の成長にとどまった。
年間推移を見ると、7月に下落し始めるまでは多少の変動はあっても上昇軌道を維持していたが、それ以降は下降傾向となり、最後は143・62ポイントで終えた。
中銀が集計する経済動向予測調査「フォーカス」では、22年のGDP成長率は3%と見られていた。
第4四半期のIBC-Br減速は、インフレ抑制のためにここ6年間で最高の13・75%まで引き上げられたSelicや、債務を抱える家庭や債務不履行に陥った家庭の増加、高水準のインフレが原因だ。
Selicの高止まりは企業家や国民が融資を受けるのをためらわせ、返済を困難にするなどの影響があり、経済界や産業界の懸念の一つとなっている。高金利はルーラ大統領による中銀総裁批判なども引き起こしたが、高インフレが続くと、高金利や購買力低下、売上の伸び悩みという悪循環も長引く。
なお、15日は、やはりGDPの先取り指数の一つとされるFGV/IbreによるGDPモニターも発表された。22年の経済成長率はこちらでも2・9%とされている。
Ibreも、22年のブラジル経済はソーシャル・ディスタンスの緩和や社会・経済活動の正常化により、パンデミック期間中に最も打撃を受けたサービス業を中心に成長していたが、高金利や負債を抱えた家庭の増加などにより、経済活動が減速したとしている。
Ibreのモニターによると、第4四半期は前期比で0・2%のマイナス成長となっており、前年同期比での成長率も1・9%にとどまったという。Ibreのモニターによる12月の成長率は前月比で0・2%、前年同月比で1・4%の成長で、中銀の数字よりもやや小さかった。
Ibreによると、2017年以降の成長傾向はパンデミックのため、2022年に途切れたが、22年のGDPは9・82兆レアルで、過去最大とされてきた2014年を超えたという。ただし、国民1人あたりのGDPは4万5706レアルで2010年を下回っているという。